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ep14.きっと星をめぐる 3/4 ページ47

2人の話に耳を傾ける。
話の詳細はよくわからないが、問題を起こしたのは探し人、晋助らしい。

ずっと座っていた彼は立ち上がり、私と小太郎の横を通り歩んでいく。

お家だの、お国だののためにはたらき死んでゆく、そんな立派な侍にな。
悪いがおれはそんなつまんねェ(モン)になる気はねェよ。

と言い捨てるようにしてから、立ち止まった。

「ならば、お前は一体どんな武士になりたいと言うのだ。
……高杉。お前は一体どこへいこうというのだ」

「……さあな。そんなもん、わかったら苦労しねェさ」

ザリ……と複数の足音が聞こえて、後ろを振り向けば性根の腐っていそうなクソガキが複数。


「高杉。ウチの弟が世話になったらしいな。下級武士の子倅の分際で身の程をわきまえろ。お前には先輩の特別授業が必要のようだ……」

ふっと鼻で笑った晋助は、足元に落ちていた手頃な木の枝を拾い上げて構える。
「今度は少しはマシな稽古ができるんだろうな」
「待て!! 稽古上での遺恨を私闘で晴らそうとはそれでも武士を目指すものか!
それも、多勢に無勢で……!!」

小太郎が晋助を止めようとするが、ガキ大将じみた男が話を続ける。

「桂もいるじゃねェか。ちょうどいい。特待生だかなんだか知らんが、ロクに金も納めん貧乏人と机を並べるのも我慢の限界がきていたところだ。

ン……?それに、そこのお前……」
気に食わない物を見る目と視線が交差した。

「わたし?」
「そうだ。お前もこの前うちの弟が世話になったらしいな」
その、面妖な髪の色、間違いない。と男は言う。
「へ??」

記憶にないんですけど―――……と思ったが、もしかしなくてもあの時のことだろうか。私が忘れ物届けにいったときのクソガキのお兄サマということだろうか。

「全員まとめてたたんでしまええェ!!」
私の脳内では審議が行われているが、お構いなしに走り寄ってくるクソガキ複数。

「見たかよ、桂。ここには侍なんていねェよ」

「どうやらそうみたいだねぇ、クソガキの兄貴もクソガキってことだな」

片足を後ろに引いて、握りこぶしをつくって身構えようとすればヒュン、と風をきるような音が鳴って石畳の隙間に白刃が突き刺さった。この鍔の形は……。

飛んできた方向を見やれば私の探し人が頭の後ろで腕を組んで、器用にも木の枝の上で寝っ転がっていた。

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設定タグ:銀魂 , 松下村塾 , 長編   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:きびもち | 作者ホームページ:https://twitter.com/c6h12o6_kbmt  
作成日時:2021年5月21日 19時

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