ep12.教育は味を占めて 2/5 ページ38
「もとより、女の子らしいところがあまり多くはなかったと思いますが、食欲をはじめとして、君は口よりも先に手が出てしまいがちですよね。
剣術を教えようとしても君は剣を持って振るいはしますが、それよりも武術……いえ、あれはもう肉弾戦と言ったほうがいいでしょうか……」
今日の稽古の様子を思い浮かべているのだろうか。これも男世帯のせいでしょうか、と私の育て方を少し後悔しているような素振りを見せる松陽。
「んー、確かにそうだけどさあ、別にお琴とか、演舞だとか、そういう雅なことが私したいわけじゃないし……」
それに料理、洗濯、掃除、裁縫……家事はそれなりにできるし、たとえ結婚したって困らないよ。と言えば松陽は面食らった様子で少しだけ間を置いてから
「名前が結婚なんて、私許しませんよ」
と言い放って世のお父さんの気持ちがわかったといわんばかりの様子。どこの馬の骨ともわからない男にはやれない、私より強い男でないとね、と続ける。
「例えだよ、例え。っていうか、松陽より強いってこの世に居るのかわからないレベルじゃん……」
そうそうお目見えすることはできないなあ、私結婚できないのかー。いや、願望もないけどさ。
「大食らいな上に力加減もできねー女だ、嫁の貰い手なんていねぇだろ」
どこから聞いていたのか銀時が気だるそうな顔をしながら頭をぼりぼりと搔いている。その顔は傷だらけであるが。
「んん〜〜?なあに、もっぺん試合する?銀時クン?」
上等だ、喧嘩売るなら買ってやる、と意気込めばもう今日は十分だと断られた。
「どんなじゃじゃ馬娘にも取り柄の一つくらいありますから、安心なさい名前」
「え、一つしかない??私の取り柄は……。
まあ、話脱線したから戻すけど、肉弾戦が好きなのたぶん昔からだよ」
剣も使う。使うけれど、それよりも先に拳や蹴りといったほうが、考えるよりも先に動くのだ。まるで、本能がそうさせているような。
道場での剣での稽古のはずが、松陽や銀時など強者を相手にすると、いつの間にかセーブできなくて、負けたくない、勝ちたいと思えば思うほど、試合のルールもなにもあったもんじゃない試合をしてしまう。良くないとはわかっているのだが。
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作者名:きびもち | 作者ホームページ:https://twitter.com/c6h12o6_kbmt
作成日時:2021年5月21日 19時