【銀魂】細雪の残滓 (ページ15)

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ep5.この紐を解いて　7/7 ページ15

「ほら、腕を首に回して、」

と言われ、もたもたと男の首に腕を回すと太ももの裏に手が回り、視界が上がった。

一定のリズムで揺れる背中に、やはり心がぽかぽかとしているのを、嬉しいということを感じる。

「君は、今までのように、殺すために剣をふるったり、拳を握ったりする必要はもうないんですよ。

これからは、自分を守るためじゃなくて、己の魂を護るためにその剣を振るいなさい。拳も一緒です」

「……たましい？」

「まだ少し難しいでしょうか、」
大丈夫、いずれわかる日がきますから、と言う男の声は優しかった。

「そうだ、それから……君が今日帰ってきたら、伝えたいことがあったんですよ、わたし」

「つたえたいこと？」

「ええ。
……いつまでも、きみ、と呼んでいては寂しいですからね。私、ずっと君の名前を考えていたんですよ。苗字名前。どうですか？」
と反応をうかがう男。

……だから最近物思いに耽っていたのか、と最近の様子を思い出し納得する。

……苗字名前。男の告げた名前を心の中で読む。無意識のうちにふふっ、と思わず口が緩み、笑みを溢していた。

「うれしいよ、名前、つけてくれてありがとう」

さきほどから胸のあたりがぼかぼかしていたが、さらに増してざわざわと落ち着かないな、と感じる。人に名前を呼ばれるのが、こんなにもぽかぽかする気持ちになるなんて今まで知らなかった。ほんとうにどうにかなってしまいそうだと思う。

「ありがとう、しょうよう」

と溢すと男の肩が一瞬強張る。何も反応がないことに、どうしたのかと思いつついるとふふ、と松陽が笑った。

顔は見えないが、喜んでいるのが伝わり、さらに心のざわざわが増す。
人が喜ぶのは自分も喜ぶ、嬉しいものなんだな、と思いながら今日は新しいことばかりでいっぱいいっぱいだった。

「やっと、名前、呼んでくれましたね」

どういう字書くのか、あとで教えてね、しょうようのも、と告げると

もちろんです、と穏やかな声が返ってきた。

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はじめて名前をよんだ、よばれた日

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主人公に暮らし方のいろははもちろん、知識も感情も、知っていることを教えてくれる松陽先生がみたい(食い気味)

台詞はもちろん地の文で今まで、松陽先生を男、とか吉田松陽、とか他人行儀な呼び方をしていました。
主人公の感受性の変化や成長を表現できたらな、と思っておりました(汗)