ep5.この紐を解いて 3/7 ページ11
「おい、なんだこのわっぱ、恐ろしく強いぞ!!!?」
「かまうな、たかがわっぱ一人だ。たたみかけろ!!!」
そう言う賊の背後を取り、口に咥えていた柄を利き手に持ち直し一振り。
その左右から突っ込んできた賊に回し蹴りをかまして一蹴する。
ようやく、半分は片付いただろうかと思いつつ、敵の斬撃をいなす。
しかし間が悪かった。
「ンぐッ!!!!」
脇腹に鈍器で殴られた痛みを感じた時にはもう遅く、体は宙を浮いた。体内から競りあがってくるような感覚に耐えられず嘔吐くと、赤い液体が舞ってさっきまでいた場所を濡らした。
どさり、と音がするが体への衝撃が予想よりもあまりないことに気づく。どうやら幸い落ちた場所は生垣のようで二次災害は防げたが、全身……特に上半身が鈍く重い痛みに襲われる。
「調子に乗るなよ、小僧が」
「バカ言え、その小僧一人相手におまえらどんだけ手こずってんだよ、」
しょーひんに傷負わせていいのかよ??
と敵を煽る。攻撃を仕掛けてきたやつだろうか。
脇腹を抑えながらやっとの思いで立ち上がるが、正直立っているだけで精一杯だった。どこもかしこもひどい痛みだ。内心戦える状態じゃねえ、とこぼす。
「どうやら手足だけじゃなく口も達者みてェだな。その傷でどこまで戦えるか見ものじゃねえか」
走りながら振りかぶる敵が霞んで映る。
もはや手の施しようがないな、と思うがそれに反して最後の悪あがきでも、と思わずにはいられなくて。刀を構える。
「多勢に無勢。まったく、大の大人が情けないことです」
この場の誰のものでもない、凛とした声が聞こえたのはその時だった。
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作者名:きびもち | 作者ホームページ:https://twitter.com/c6h12o6_kbmt
作成日時:2021年5月21日 19時