【文スト】大きな国の大きな組織【完結】

第11話 ページ15

｢えっと、メアリーちゃん、だっけ？｣

ローラの後を付いて戸口まで来たマークはふと何かを思い出したかの様に立ち止まり、一八〇度方向転換をする。

メアリーは肯定も否定もせずにただじっとマークを見つめる。

その瞳には何かよく判らない感情が瞬いている。

｢ローラちゃんを組合(ギルド)に入団す(はい)るよう説得してくれて、有難う。

本当はジョンから話を聞いた団長(ボス)に彼女を説得するように頼まれていたんだ。

間違えて隣村行ったのは事実だけどね｣

困ったように笑って頬を掻く。

｢準備出来たわよ、トウェイン!

乗り心地は我慢してよね、乗馬用の子じゃないもの｣

外から聞こえたローラの声に一瞬だけ外を振り返る。

そして言葉を選ぶように視線を宙に向け、早口で云う。

｢ジョンから彼女についての事は聞かされてる。

彼は彼女が今の生活のまま平和に一生を終えることを望んでいた。

彼女の幸せの為に。

でも団長(ボス)はそれは彼女の為に成らないって云ってた。

僕もその通りだと思う。

だから君がジョンと同じ考えでなくて安心したよ。

有難う｣

云いたい事を全て云い終えると、メアリーの返事を待たずに外へ駆け出して行った。



｢ローラがこの家に居続ければ、何れ彼女は壊れてしまう。

そうなる事は誰も望んでいないもの。

愛する妹の為なら、私は消えてもいいわ｣

メアリーの独白は誰もいない空間に吸い込まれるようにして消えていった。

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