嫌われ者なあの子に仕方ないから姫の座、譲りました。

1話 ページ3

・



「貴方は今日から、苺城の姫なのよ。
まずはその汚いドレスから着替えなさい？」



そう言って、自分が望んだ結果のはずなのに

自ら放った言葉に胸がチクリと刻まれた。


私は今日から、美しい令嬢ではなくて
悪役令嬢になるの。そう自分に言い聞かせ

こちらをギラりと睨みつけてくる真奈に

ため息をついた。



・






・








・







＿＿本当にこの子は変わらない。



貴方が望んだ結果なのに。




そう思いながら、ドア手前にいた爺やに

無駄に広いベッドへ近寄らせ

メイドさんを呼んでもらった。




「真奈のドレス、選んであげて。」




「ですがAお嬢様…」



「あら、私はもう貴方達のお嬢様じゃ
ないわよ？」




そう言えば、冷や汗をぽつりと流し
「す、すみません…」と真奈の可愛い
パジャマワンピースを支えた。




「お着替えはこちらです。」



奥の部屋からそんな声が聞こえ、真奈が
別室へ案内されたのを良いことに
私は身支度を整えた。





今日、このお部屋ともお別れ。


自分らしくリメイクさせて貰った部屋は

可愛らしい

青、赤、黄、ピンク、紫、オレンジの

リボンを付けたクマの人形が1つ1つ

窓際に並んでいる。



「…はぁ。」



自然と出るため息を後に、その人形達を

貰った本人…すとぷりの彼らの部屋まで

返しに行かないと思うと、気が重い。



・

2話→←＊設定＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す