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禍狗は欲する ページ6

手に残るは女から半ば強引に押し付けられたカード

濃緑のそれには金で《喫茶店 レウコン》と


上空を見上げれば白い翼を纏った女

その長い黒髪は夜空と同化するように黒く、柄にもなくその姿はさながら天使のようだ、とさえ思ってしまう


それ故、れほとんど反射的に




「羅生門」




女の体めがけて羅生門を向かわせた。



抵抗していたものの、ついに力尽きて落下してくる


ものすごい勢いで何か叫んでいるような気もするが知ったことではない



地面に衝突する寸前に女を受け止めると、僕の腕の中で固く目を閉じて縮こまっている女の姿があった



「先刻までの威勢はどうした?」



あえて神経を逆なでするように告げれば、ようやく女はその双眼を恐る恐る開けた。



「なっ、何するんですか!?死ぬかと思いましたよ!」



よく見ると女の目には微かに涙が見れとれる



「場所は」


「はい?」


僕が尋ねれば不思議そうな顔で首を傾げる女


「店の場所だ。分からねば行けぬ」



お待ちしております、などと言っておきながら、店の場所は教えていない


その事にようやく気がついたのか、早口に説明を始める


「あっと、そこのケーキ屋を右に曲がってすぐの路地です。ごめんなさいうっかりしてて」


恥ずかしがるように頬を軽く染めながら、再び帰っていく女には、先程までのように気丈さの欠片も感じない


そんな二面性に惹かれたのだろうか



もう一度会いたいと思ってしまったのは。

太宰と禍狗→←宣伝する店主



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作者名:しゃちほこ | 作成日時:2018年3月14日 21時

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