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「あはは…やっぱり佐久間さんは俺のことなんてどうでもいいんだ」
『また病んでるんすか?ヤンデレムーブ怖いっすよ』
この人は同じ経理部の課長、阿部亮平センパイだ。
どうやら、オレは彼のオキニらしく、(特別に)阿部ちゃんと呼ばせて貰っている。
当時は自分の努力が認められた気がして嬉しかったが、今ではただのヤンデレ処理員と化してきた。
「はは…俺のことなんて所詮通行人Aなんだ、俺のことなんて誰も愛してくれないんだ」
『佐久間さん?でしたっけ。営業部の係長っすよね?あ、阿部ちゃんのオキニっすか?』
「うん…誰にでも笑顔を振りまくんだよ…俺の恋ももう終わりだ…」
『恋!?あ、例の?あー…』
「なんかね、やっぱりイケメンだからモテるらしいの…もう三十路近いからそろそろ結婚するんじゃないかって…」
それは阿部ちゃんもでしょと思いつつ、解決策を考える。
『あ、そういえばオレお昼、営業部に用事がありますよ』
確か係長に用事があるんだよな…
…丁度いいじゃん
『係長に用事があるんすよ、俺の代わりに行きませんか?』
「…いいの?」
優しくてあざとい人でもあるから上目遣いで聞いてくる。
ああ、ずっと優しくてあざとい阿部ちゃんでいてくれ…
『いいっすよ。これっす』
「ありがとう目黒ぉ!お昼休憩の時間に持ってく!!」
『頼みました』
これで解決するといいけど…
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作者名:ササキ | 作成日時:2024年2月7日 7時