雄英脱出【死柄木弔】 (ページ10)

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LOOK AT ページ10

相「色取！！？っ逃げろ！！！！」

イレイザーヘッドは黒いでかいやつと戦っている。今にもやられそうなのに、なんで俺に構ってるんだろう。確かにゴーグルに覆われたその視界は敵ではなく俺を見ている。

ヒーローって意味不明だ。

死「なァ」

死「キミは何を見てる？」

　「え…」

慌てて目の前に向かう。死柄木さんはさっきより俺の近くに踏み出している。俺の顔を覗き込むように見下ろしてくる。その赤い目から目が離せない。恐怖なのか高揚なのか、おれの手足は冷たくなった。

死「アヤトくんが見てたのはイレイザーヘッド？」

　「ぁ…は、はい」

死「そっか」

俺から目を離さないまま死柄木さんは一歩引いた。ギラついた笑顔がすっと小さくなる。俺の顔は今どうなってるんだろう。

体が動かない。まるで鎖の枷が付いてるみたいにつま先から唇までガチガチだ。唯一動く瞳は彼の赤い目に捕まってる。

まるで自分の全てを掌握されたみたいに、監視されてるみたいに俺は今、死柄木さんの手の中にあるはずだ。

言葉では言い表せないほど混ざり混ざった感情が頭の中で渦巻く。涙が出そうで笑みが溢れそうで今にも震え出しそうな。

知らないキモチでクラクラとした視界を瞼で閉ざしまた開ける。死柄木さんは俺の目の前から消えていた。

死「見てて。アヤトくん。」

相「本命か」

死柄木さんの赤い目は俺を離したのに俺はまだ見えない鎖に繋がれたままだ。