雄英脱出【死柄木弔】 (ページ9)

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ひだりききページ9

やっぱり。やっぱりあの人はヴィランだった。思った通りだ。だけど、今はあの人の目が見えない。気色悪い手があの綺麗な目を覆って邪魔をしている。

　「…」

切「おい！何やってんだ、早く行くぞ！！」

　「あ。」

ゴツゴツした手が右手を掴む。いつだってコイツは右手だけを選ぶんだ。

後ろ向きのままぐいぐいと手を引かれ、13号の近くにやって来た。あの人の狙いは何なんだろう。敵なら俺たちを殺しに…？それはそれでいいかもな。

13号「早く避難を…！」

あの人は今何を見ているんだろう。この距離じゃ個性もきかない。周りにいるのは？あの人の周りをちょろちょろと。蝿が。見てるだけでうざったい。後で潰そう。

切「彩人、」

そんなことを考えていると切島が耳打ちをしてきた。
「攻撃を仕掛けよう」って。よく見たら目の前に敵が来ていたっぽい。あの時みた黒い霧だ。コイツはあの人と一緒にいるのかな。

　「許せないね」

切「…？ああ！そうだな」

ゆっくりと瞳を覗く。ああ、コイツはつまらない。視界は黒い煙で覆われていて少し高い。それだけだった。

特別明るい訳でも、情熱的でも、悲劇的でもなかった。色味のない、俺だった。

　「…俺を見てる。」

切「あ、そっか！お前の個性！」

　「ヤツの死角は右下。今ちょうど靄がかかってる。」

静かに頷き切島は飛び出した。この霧野郎には俺が白黒に見えているようだ。隣の切島は真っ赤だったのに。なんか、腹立つ。俺のコスチューム、白黒だけど。←至極真っ当な黒霧

切島は奇襲に失敗したようだ。

　「ドンマイ」

切「余計傷つくんだけど」

切島は俺の右隣にまた立った。目の前の敵を見つめることしか出来なかった。

黒「散らして、なぶり殺す」

一面黒に囲まれた。隣の切島は消えていた。というか俺の周りには誰もいなくなっていた。よく見る夢と似ていたが関係ない。目の前にいる敵の顔が近づいてくる。

黒「あなたは、死柄木弔の場所へ。」

　「死柄木、弔…」

全身が包まれたと思ったら、“あの人”もとい“死柄木弔”がいた。静かに俺と向き合っていた。今にも心臓が破裂しそうだ。昨日今日ときて会えるなんて、夢にも思わなかった。

　「あ…えっと」

死「ハハ、久しぶり。つっても昨日ちょっとあったけど」

この人の瞳はやっぱり綺麗だ。

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BLじゃないから…！！！断じて違うから！！！