第五十四話「強弱」 ページ12
「もう一度」
「もう一度」
ノブナガの声の後に、
ドンっと痛々しい音が鳴り響く。
ゴンの右手から血が流れる。
突然始まったノブナガとゴンの腕相撲は、
あの時のフェイタンと同様。
一方的な勝負でしかなかった。
ノブナガが口を開く。
「俺ぁ蜘蛛の中で何番目に
腕相撲、強いかね？」
ノブナガとゴンを囲むように立って、
腕相撲を見ていた旅団員達は質問に答える。
「七、八番ってとこじゃねーか？」
「弱くもないけど強くもないよね。」
「…でよぉ1番強ぇのがウボォーギンて
男だったんだが鎖野郎に…」
ノブナガは、そう言いかけたあと、
ゴンの手を握っていた腕に力が入った。
それを知ってか知らずか、
キルアが反抗的な声を上げる。
「だからそんな奴、知らねぇって
いってんだろ？」
その瞬間。
ゴンの手が、また痛々しい音を上げた。
「おいガキ。次に許可なく
喋ったらぶっ殺すぞ。」
ノブナガの言葉に、キルアは固まってしまう。
そして、ノブナガは「もう一度」と、
ゴンと腕相撲を開始した。
ノブナガは言う。
「奴ぁ強化系でな。竹を割ったような、
ガチンコ好きの単細胞だ。」
ノブナガの声が震え始める。
「旅団設立前からの付き合いだ。
俺が誰よりもよく知ってる。」
腕に力が入る。
「あいつは…ウボォーは、
簡単に涙を流すタマじゃねぇ。
まして、戦って負けるわけがねぇ。」
ノブナガの目からは、涙が流れていた。
「…下手に、生かしやがって。
あいつのプライドを踏みにじりやがって。」
ウボォーギンは、今。
別の場所で休養をしているようだ。
「絶対に許さねぇ。
何人ぶっ殺してでも探し出す。」
ノブナガのこめかみに力が入る。
握っている手がギリギリと音を立てる。
「鎖野郎は、俺たちに強い恨みを持っている。
最近。ノストラード組に雇われた人物だ。」
そのノブナガの言葉に、キルアの頭の中には、
クラピカの姿が浮かび上がっていた。
そして、もう1人。
Aの姿も。
クラピカは、こいつらに…蜘蛛に、
強い恨みを持っている。
だから何が何でも、必ず。殺すはずだ。
だが。殺していない…？
それはおそらく突然。
予期せぬ何らかの、邪魔が入ったから。
その邪魔の正体は、きっとA。
いや違う。違うんだ。
何の確信もない。何の根拠もないのに。
「蜘蛛」という言葉を思い浮かべると、
Aの姿が浮かんでくる。
そう。それだけなんだ。
ごめん。
キルアは自分の拳を。
強く。
弱く。
握りしめた。
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じゅな(プロフ) - ずっと待ってます！ゆっくりでもいいので更新してくださると嬉しいです！ (4月18日 17時) (
レス) id: 63d6ee7837 (このIDを非表示/違反報告)
あ3 - 更新楽しみにしてます､､､､めちゃ好きです (2022年11月1日 16時) (レス) id: b2be5c4b6e (このIDを非表示/違反報告)
キエラ(プロフ) - 久しぶりに見に来たら更新されてて泣きました(´；ω；｀)これからも更新楽しみにしてます...！ (2021年12月16日 20時) (レス) @page44 id: cdb417a741 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - ナルアさん» ナルアさん…！本当にお久しぶりです！ずっと待たせてしまって本当にごめんなさい ; ; いつもコメントしてくださって本当に支えられています…！そう言っていただけて本当に嬉しいです！ずっと待ってくださっていて本当にありがとうございます！これから頑張ります！ (2021年10月19日 22時) (レス) id: 9f58bcb1e6 (このIDを非表示/違反報告)
mikan(プロフ) - 名無し76544号さん» 優しいお言葉に本当に心が暖かくなって小説も書こうって思わせていただけます！本当にありがとうございます！少しでも幸せが訪れますようにっ！最近寒くなってきましたので、お体に気をつけてくださいね！更新頑張っていきますね！ (2021年10月19日 22時) (レス) id: 9f58bcb1e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mikan | 作成日時：2020年10月4日 13時
