． ページ2
一問目、と指を一本立てて云う。
「僕は君の事が嫌いだ。嘘か本当か」
「き、嫌われてはいない筈…嘘で!」
勿論、嫌ってる訳ないでしょ、なんて心の中で呟いて、正解、と口にする。
「じゃあ二問目。僕は君の事が好きだ。嘘か本当か」
流石に此の質問には驚いた様で、Aは大きな目を更に大きく見開いた。
「ななな、何を云い出すんです?!」
「何って、唯の遊戯だよ。ほら、嘘か本当か。どっち?」
目を開いて、Aの目を真っ直ぐ見詰めた。
「う、嘘で!!」
＿＿あぁ、矢っ張りAはなぁんにも解ってない。
「残念、外れ」
ずい、とAに顔を近づける。
お互いの吐息が掛かる程の距離になった。
Aは余程驚いたのか、顔を真っ赤にしたまま動かない。
あぁ、何て可愛いんだろう!
「じゃあ最後の問題だよ」
ねぇ、A、
「僕だけのものになってよ」
どろどろとした、蜂蜜と砂糖を煮詰めた様な感情を、声に乗せて囁く。
「僕だけの、Aになってよ」
Aからの返事はない。
沈黙による静寂が、二人だけの空間を支配した。
ややあって、掠れて上ずった声で、
「ゆ、遊戯とは、関係ありませんよね…?」
なんて訊くものだから、鈍感もここまで来れば罪だと溜息を吐いた。
「何云ってるの、此の質問がこの遊戯の目的だって、解んないの?」
ごく、と息を飲む彼女の頬を撫ぜる。
びくり、と彼女の体が跳ね上がった。
「でもね、A。答えなくてもいいんだよ。だって分かってるから」
君が、僕だけのものになんてなってくれない事。
刹那、がくん、とAの体が崩れ落ちる。
「ごめんねA、僕に振り向かないって知ってたから。分かってたから、」
だから、こうするしかないんだ。
他人から貰った物を何の疑いも無く口に運んだ君が悪い。
僕のものにならない君が悪いんだから。
気を失った彼女の体を持ち上げる。
其の儘探偵社を出て、これからAが住むことになる部屋のある家へ向かった。
此れで、僕だけのものになる。
僕だけのAになる。
「大好きだよ、A」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
はい、如何でしたでしょうか。
こんな風にお話を進めていこう思っております。
乱歩さんはが無邪気なイメージで、「愛してる」より「大好き」の方がしっくりくるなぁ、と。
夢主が倒れたのは乱歩さんから貰った飴玉を食べたからです。
これからもこの作品を宜しくお願いします。
2022.01.09 瀬麦
支配してほしいから[夢野久作]→←分かってるから[江戸川乱歩]
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬麦 | 作成日時：2022年1月9日 3時
