時柱は鬼殺隊最強です。【鬼滅の刃】 (ページ15)

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(春馬side)

＿＿家が血で染まっている。
そして、母と妹が倒れている。

「母さん！伊代(いよ)！」

「おい！大丈夫か！」

俺と父さんは思わず駆け寄った。だが、もう絶命している。心臓の音が聞こえない。

「へえ、まだ人間が居たんだねぇ。男二人、でも一人は男の娘。最高じゃないか！」

そう言いながら出てくるのは、鬼。若くて柔らかい人間を好む、人間の敵(・・・・)だ。

「てめぇ、よくも俺の奥さんと娘をっ！ふざけんなっ！」

父さんはそう言いながら、鬼に向かって行く。
でも、一瞬。一瞬で殺された。

「ああ、美味かった。じゃあ次は君だ」

そう言いながら鬼は近づいてくる。
やめろ。来るな。その叫びも鬼には通用しない。

「じゃあ、いただけまーす」

そして、俺は鬼に食われた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「……範！師範！」

う、この声は……。

「…椿？」

「そうです！椿です！うなされてましたよ！大丈夫ですか！？」

そう、俺を揺さぶっていたのは俺の継子：朱鷺莽椿だった。
心配してくれていたのか、椿の目には涙が溜まっている。

ふと、外を見る。
青空。雲一つ無い良い天気だ。

如何やら夢を見ていたようだ。
それも、過去の出来事の。

それを感じた瞬間、緊張の糸がほぐれたのか身体の力が抜ける。

「椿、ごめん。今日はゆっくりして良いかな？」

「はい！勿論です！家事はボクがやっておきますので、師範は休んでいてください！」

椿はそう告げると、台所に向かう。何か作ってくれるのだろう。
椿の作るご飯は本当に美味しい。蝶屋敷のアオイちゃんとも良い勝負だろう。

……夢のあの内容。大体は俺の過去に基づいている。
だが、本来は最後に俺が食われる事は無かった。
何故なら、食われる直前に日の光で(・・・・)鬼は消滅したからだ。

だからこそ、俺は今生きている。
だからこそ、時の呼吸が存在している。
だからこそ、椿が俺の継子になっている。

だが、何か嫌な予感がする。
ひょっとしたらあの夢が本来の歴史なのかもしれない。と、そう思っている自分が居る。
俺は、本来ならもう死んでいるのかもしれない。と、そう思っている自分が居る。
俺は、この世界にとってイレギュラー(・・・・・・)な存在なのかもしれない。

いや、これはあくまでも俺の想像だ。こんな事はあり得ない。

あり得ないという事を願いながら(・・・・・)、俺はまたも眠りにつくのだった。