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「……どーもー!芸人やってます、ワイ白膠木簓いーます!」
へらへらを笑いながら、「以後お見知りおきを〜」と続ける。ペコッと頭を下げると、小春くんは何やら満足そうな顔で笑っていた。
なんだと身構えるよりも早く、抱き着かれる。
「Aさんにもツイに春がきたんやねぇっ!オンナノコは桃色片思い!両想いやなんて素敵やない!!結婚式には呼んでな〜、ユウくんと一緒に新ネタみせたるわ!」
「いや、くっつくな!なんで、そないな話になるんや!?」
「いや〜ん!Aさんの関西弁、めっちゃかわええ〜〜!」
「ちょぉ、ヘンなとこ触らんといて!!俺のAチャンやから!」
小春君を引きはがし、逃げるようにリビングへと入る。
仕方なく2人分のお茶を用意し、俺はトーク画面に「こはる 襲来」とだけ打ち込んだ。今度、どないな関係か教えてもらわな。
「Aさんってキュウシュウディビジョン出身なんよ。せやから、イントネーションがまだ南よりな時があってな。白膠木さんみたいにコテッコテの関西イントネーションは喋れへんねん」
「へー……小春くん、よう知っとんな」
「姉ちゃんとAさんが友達やから、様子見に遊び行くようお願いされとんねん」
小春くんがペラペラとAチャンのことを教えてくれる。
どうやら彼は、Aチャンと俺の仲を取り持とうとしてくれているらしい。ありがたい限りだ。
「初めてのファンと売れっ子芸人の禁断の恋……っ。めっちゃキュンキュンするわ〜」
「仲はイマイチ進んでへんけどな」
「そうですか?アタシは、そうは思わんけどなぁ」
ピコンと音が鳴って、Aチャンから返信があったのを知らせる。俺はスワイプして、彼女からの返信を確認した。
「……なんで盧笙と写真、撮ってんねん」
「アラ、レア写真。……あとでAさんに送ってもらお」
Aチャンの携帯を覗き込んで、小春くんがそう言った。
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例に漏れず起きたら元に戻ったけれど、双方の携帯のデータ量が大変なことになっていたそうな。
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高炉 - 八守葵さん» ここから心苦しいことが続きます。どうかお付き合いください。 (2021年5月29日 19時) (レス) id: 996b1b07b3 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - うわぁ…小鳥遊さんを通して自分の気持ちに気付いて混乱というか不安というか………夢主ちゃんの気持ちは気付いちゃいけなかったのかな…簓さんの懇願するみたいな心の叫びに凄く胸が締め付けられました……泣きそうです… (2021年5月26日 7時) (レス) id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - 八守葵さん» 大切にしてるからこそ、ガンガン攻められない簓さん……。自分の癖を詰め込んでいく方向で執筆しております。同志がいてくれて嬉しいです。 (2021年5月22日 17時) (レス) id: 02eddfa9d5 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - ハァァァ〜〜、待って下さいシチュエーション最高すぎません?彼氏って言われて浮かれるのとか芸人としてじゃなくて一人の男の人として夢主ちゃんに想いを寄せているんだなぁ……って思いました! (2021年5月21日 22時) (レス) id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - 八守葵さん» いえいえ!こちらこそ、企画期間中たくさんのリクエストをよせていただきありがとうございました。猫化の話など、個人的に気に入っております! (2021年5月9日 19時) (レス) id: 348a12973c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:高炉 | 作成日時:2021年5月1日 17時