75人記念|★千歳オトンとぬるで兄ちゃんと私_八守葵さま ページ1
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「な、なんやねん!どないやねん!」
千歳くんに抱きかかえられ鏡に映る自分の姿を見て、私は反射的に叫んだ。
モチモチとした白い手足と、染めて少し痛んでいたはずの髪とは違い柔らかなそれ。千歳くんが買ってきてくれた、最近はやりの女児向けキャラクターが印刷されたTシャツと茶色の短パンが、見た目には合っているのに、精神的には合っていない。
恥ずかしすぎる。こちとら成人してから何年も経っているというのに、今更こんな格好……。
「ははっ、たいぎゃむぞらしかね。妹も、こぎゃんサイズん時のあったとよ」
「……慣れたもんだね、千歳くん。私も理解が追い付いてないのに……。君がいてくれて助かったよ」
ポンポンッと千歳くんに頭を撫でられ、本能的に安心する。少し見上げてみれば、優しく微笑まれた。妹さんも、こんなお兄ちゃんのもとで健やかに育ったに違いない。そんなことを思えば、なぜか感慨深くなった。
「もうよか?」と問われ、首を縦にふる。千歳くんは、ゆっくりと私を床におろしてくれた。
ここは私の家だ。
朝、気づけば、こんな小さな姿になっていた私は、どうしようかと動転しまくって自分の部屋のベランダへ出た。その時、幸か不幸か、シガディビジョンまで散歩しに来ていた千歳くんと目が合い、私は彼に助けを求めた。
中学生に助けを求めるのはいかがなことかと思ったが、千歳くんは中学生には見えないし、こんなに頼りになってくれるなら、もう何でもよかった。
「さ、Aさんはこいから、何ばすっと?やっぱ子どもやけん、昼のうちに遊んどかんと夜、寝られんばい。公園でテニスでもすんね」
「え、私なんか悪いことした?」
千歳くんたちのテニスを思い出し、思わず青い顔をした。それを見て、千歳くんがケラケラと笑う。
笑い事ではないと言い返そうとすれば、うちのインターホンが鳴った。千歳くんと私は、思わず顔を見合わせる。隣の美由紀さんは、今日は中央区へ仕事に出ているし、会社へは休むとメールした。来客の予定は、もちろんない。
「開けてもよか?」
「インターホンで顔を確認してからにして欲しいな」
「わかった」
しっかりと頷いた千歳くんは、インターホンを覗き込み、「ありゃ?」と声を上げた。
「一氏たい」
「え?」
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高炉 - 八守葵さん» ここから心苦しいことが続きます。どうかお付き合いください。 (2021年5月29日 19時) (レス) id: 996b1b07b3 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - うわぁ…小鳥遊さんを通して自分の気持ちに気付いて混乱というか不安というか………夢主ちゃんの気持ちは気付いちゃいけなかったのかな…簓さんの懇願するみたいな心の叫びに凄く胸が締め付けられました……泣きそうです… (2021年5月26日 7時) (レス) id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - 八守葵さん» 大切にしてるからこそ、ガンガン攻められない簓さん……。自分の癖を詰め込んでいく方向で執筆しております。同志がいてくれて嬉しいです。 (2021年5月22日 17時) (レス) id: 02eddfa9d5 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - ハァァァ〜〜、待って下さいシチュエーション最高すぎません?彼氏って言われて浮かれるのとか芸人としてじゃなくて一人の男の人として夢主ちゃんに想いを寄せているんだなぁ……って思いました! (2021年5月21日 22時) (レス) id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - 八守葵さん» いえいえ!こちらこそ、企画期間中たくさんのリクエストをよせていただきありがとうございました。猫化の話など、個人的に気に入っております! (2021年5月9日 19時) (レス) id: 348a12973c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:高炉 | 作成日時:2021年5月1日 17時