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「はぁ……」
きっとそこには、俺の知らない裕翔がいて、俺の知らない世界が広がっているのだろう。
そう思うと、俺は途轍もなく、悲しい気分になる。
反対に、裕翔が知らない俺の新しい世界と言えば、涼介と友達になったことくらいで、それも一週間に九十分間だけ隣に座り、少し喋っている程度だ。
だからそれは、新しい世界というよりも、ただ、新しい友達が出来ただけといったほうが正しいだろう。
それに、仮にサークルなどに入ったりして、新しい世界が出来たとしても、俺の世界の中心は、絶対に裕翔だ。
だって俺の脳みそは二十四時間、裕翔という文字でいっぱいで、誰かにプログラムされているみたいに裕翔の事ばかりを考えている。
「はぁ……」
(もう、眠ろう)
さっきよりも、一層大きな溜め息を吐いた後、電気を消し、ベッドに入ると、俺はギュッと目を瞑った。
いつも一緒に眠っているセミダブルのベッドは、隣に裕翔がいないだけで、なんだかとても広く感じる。
けれど、眠りに就けば、もう、そんな寂しさも、裕翔のことも、なにもかも考えなくてもいい。
―――ねぇ裕翔。
もしかしたら、夢は、夢のままのほうがよかったのかもしれない。
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でんでん(プロフ) - すごく綺麗な文章でファンになりました!めちゃめちゃ続きが気になります! (2017年8月26日 14時) (レス) id: ea6bd4582f (このIDを非表示/違反報告)
*:)高木雄也@加藤シゲアキ(:*(プロフ) - ゆやけLOVEさん» part1でもお会いしましたね!沢山のコメントありがとうございます! (2016年12月17日 11時) (レス) id: 726ef27e93 (このIDを非表示/違反報告)
ゆやけLOVE - なんかもぉ泣きそうです(><) それぞれが幸せになれることを祈ってます。 更新待ってますm(__)m (2016年12月17日 9時) (レス) id: a62276a76a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天藍凜@シェゾ依存症 x他2人 | 作者ホームページ:リア充ぶっ飛べ!
作成日時:2016年12月13日 17時