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松村くんと樹くんは、世間一般でいう、俺の『推し』なのだと思う。
見ていて『尊い』という気持ちになるらしいし。
機械的な彼と、セコム的な彼。
今までの流れからして、きっと二人は相思相愛なんだろうなぁと思っている。
なんだろう、お互いがお互いを監視し合ってる感じ。
付き合っていたりするのだろうか。
あんなに好き好き、っていう矢印が見えるけれど。まぁ友人同士でそういうのもあるしな。
ちなみに今日は華の金曜日だ。
足が軽すぎてスキップで来たんじゃないだろうか、俺。
……と、言いたいところだが、今日は残業があった。
華金に残業？ なんて思ったが終わらせてしまえばどうってことない。
でも、遅くなったし、二人はいないかもしれない。
見えてきたコンビニに、二つの影が見えた。
俺は反射的に物陰に隠れた。
……松村くんと樹くんな気がする。バイト終わりだろうか。
｢北斗お疲れ｣
｢うん｣
あぁ、本当に二人だった。
｢ありがとう、今日の昼｣
｢ん、なにが？｣
｢…その、女の子達と食べるって、思ってたから｣
｢あぁ、それな、食べるわけなくね？ お前がいんのに｣
｢女の子達、可哀想じゃない？｣
｢笑いながら言うな。かぁわいいな｣
わしゃわしゃと樹くんが北斗くんの頭を撫でるのが見えた。
…なんか俺、ストーカーみたいじゃないか？
二人の会話を物陰から聞いて、じっと見つめているんだぞ？
でもしょうがない。聞いていたいし見ていたい。
｢北斗が嫉妬してくれんの嬉しいんだよなぁ｣
｢俺だって樹の嫉妬嬉しい｣
｢……え、気付いてんの｣
｢たまにお客さんに話しかけて意味わかんないこと言ってるの、聞こえてる｣
｢うわまじかよ｣
……あれは俺の勝手な解釈じゃなかったのか。本当に二人は嫉妬し合っていたのか。
気持ちが昂る。
｢うん、ほら、帰ろ。今日泊まってくでしょ｣
｢え、いいの？｣
｢……うん。親いないから｣
｢…は、まじ。北斗お前まじで最高なんだけど｣
｢あーもう！ まだ抱きしめないで！｣
直後、二人の影が重なった。俺の息も止まる。
｢まって、樹、急すぎ｣
｢可愛すぎんのが悪い｣
二人が去っていくのが見える。俺は放心状態。
……つまり、二人は、本当に_____。
ちなみに、二人の絡みを今後見て、世間一般でいう『腐男子』なことに気付く。
【Fin】
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作者名：更紗 | 作成日時：2023年2月2日 12時
