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私の卒業式と幼なじみ ページ29

あっという間に卒業式当日になり、私は朝から大忙しだった。友達が早くに家に来て私のクローゼットを開けてオシャレしようって言い出したり、美容室が予約されてて一緒に行ったり。
いつもよりはオシャレをしている私と満足そうな友達。楽しそうだから良しとしよう。

卒業式には同学年の友達みんなが来ていたし、バイト先の先輩も来てくれていておめでとうと言われた。意外だったからちょっと嬉しい。

お祝いの言葉ややっと卒業だという会話を友達としていると電話がかかってきた。

幼なじみからだ。

「もしもし、どうしたの?」

『今日卒業式でしょ?おめでとう』

「あ、ありがとう」

わざわざおめでとうの言葉を言うために電話をかけてくれたらしい。高校卒業の時は連絡ひとつくれなかったのに。
でもこうして言ってくれると嬉しい。

それにしても幼なじみがいる場所は外なのか何やら騒がしい。出先から電話をかけてるのかな?

「外にいるの?」

『うん。……A、後ろ向いて』

「?わかった、」

言われるがまま後ろを振り向くと花束を持ちこちらを見て笑っている幼なじみがいた。

「え…なん、で」

呆然としながら幼なじみを凝視していると彼は困ったように笑ってこちらに近づいてくる。それでも私は動けないでいた。
だって今日来るなんて聞いていないから卒業式に来るなんて思いもよらなかった。卒業式に関する話も一切してこなかったし。

「卒業おめでとう、A」

「あり、がと」

「嬉しくないの?」

「や、嬉しいよ。ただ…来ると思わなくて」

「言ってないし」

さらっとそう言った幼なじみは私に花束を差し出す。なんの花なのかはわからないけれど、ピンク色の可愛らしい花束だ。
嬉しくて花束をじっと見つめているとシャッターを切る音が聞こえた。前を向くと幼なじみがスマホをこちらに向けている。

「今撮った?」

「いや?」

「…フォルダ見せて?」

「やだ」

「もう、撮ったんでしょ?盗撮はやめて」

スマホを取り上げようと手を伸ばすも私より背の高い幼なじみが腕を上げると私には届かなくなる。めいいっぱい背伸びをしても全く届きそうにない。ジャンプをして取れないかと試みるも失敗。
そんな私を見て彼は楽しそうに笑った。

「じゃあ私も撮ってやる」

「なんで」

幼なじみに向けてスマホを構えるとスマホを取り上げられた。
愉快そうに笑う幼なじみと必死にスマホを取り返そうとしている私というなんとも不思議な構図。

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ベル(プロフ) - Twitterにフォロリク送りましたm(_ _)m (2023年2月7日 13時) (レス) @page29 id: 7777acaa3c (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - めちゃくちゃ丁寧な展開に、キュンキュンシチュエーション。、最高です……ありがとうございます。 (2023年1月29日 23時) (レス) @page26 id: 1af3cf4740 (このIDを非表示/違反報告)
ブーさん(プロフ) - 初めてこんなにドキドキしながら読むことが出来ました。続きを楽しみにしてます! (2023年1月10日 4時) (レス) @page21 id: 25eda4d66a (このIDを非表示/違反報告)
希彩(プロフ) - 読むのが楽しすぎて今一番更新を楽しみにしてる作品です…!! (2023年1月6日 0時) (レス) id: ada02de52c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さうら | 作成日時:2022年11月30日 13時

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