《Detective Boys》 ページ21
『＿＿＿＿なんで……あん、な、おちょくる様な…真似、したの？』
「んー？
特に意味はないよ、Aちゃん」
じゃら、と鎖の音を鳴らすのは、薄暗い地下牢に閉じ込められたA。
太宰とあって会話した直ぐその後に、赤い着物の少女に襲われ今に至る。
太宰は先程きた芥川を挑発し、何発か殴られ、その秀麗な顔立ちに赤い傷を作っていた。
痛々しいその傷に顔を顰めるA。
「君にはとばっちりだったね、済まない」
『………別に』
そう、今回の件、完全にAはとばっちり。
太宰を捕まえようと思ったら近くにいたAも運悪く巻き込まれてしまっただけ。
その証拠に、谷崎の細雪の応用で姿を隠していても、芥川は全く気にも留めなかった。
『早く…逃げよう………』
そう言ってAはいとも簡単に手錠を外そうとするA。
だがそれを見て太宰は待ったをかけた。
「まだ外すのはやめたほうがいい。
鍵だけ外して、いつでも逃げれる様にするんだ」
『逃げ、無いの………？』
「いいや、逃げるさ。
ただ、このままじゃあ此処に来た意味がなくなると思ってね」
太宰の言葉に、太宰の意図が掴めこれから起こることを察する。
おそらく太宰は、彼の為に＿＿＿＿
「＿＿＿＿相変わらず悪巧みかァ、太宰！」
「………その声は」
若い男の声と共に聞こえる扉の開く音。
それを聞いたAは興味なさそうに顔を背け、太宰は顔を顰めた。
「こりゃ最高の眺めだ。
百億の名画にも勝る」
「最悪。
うわっ最悪」
外套を肩にかけ現れた小柄な青年＿＿中原中也。
五代幹部のうちの一人である中原は、太宰を見て手をポキリと鳴らした後、Aの方を向いた。
「おい、なんで手前も捕まってんだ。
情報には無かったぞ」
『………完全な、とばっちり…だから』
「わあ、黒くてちっちゃい人が何か喋ってる」
Aに意識を向けた中原の注意を自分に向ける様に、太宰は口を開いた。
「前から疑問だったけど、その恥ずかしい帽子何処で買うの？」
太宰の口から出てくるのは、中原を愚弄する言葉。
スラスラと出てくる太宰にAは影でひっそりと感心していた。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーキャラ
梶井基次郎
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作者名：鸞宮子 瑩 | 作成日時：2019年11月8日 20時
