検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:12,252 hit

ページ16

エルヴァは、美しく微笑み、Aに歩み寄る。






「覚えて居らんか?
昔、良く遊んであの馬鹿とも__ハルとも、食事をしたものじゃ」






____ハル。

何で、貴女がハルのことを知っているの?

知らない、貴女のことなんて知らない。

覚えてない。

なのに____

____なのに何で、私はこの人がいると安心するの?


まるで、自分では無い誰かがいるように、知らない記憶がある。

否、若しくは自分が忘れているだけなのか。




嗚呼、またなのか。

天花羽Aでは無い、《天花羽A》が出てくる。

違う、私は、《私》は。








「………覚えていないようじゃな。
これ以上深く追求してもいみもなかろう。
…早く、仲間の元へ行くのじゃ」








エルヴァが悲しそうに微笑む。

それを見て、無性に泣きたくなった。

だが、自分が壊れて行くようで、逃げるようにその場を立ち去った。








****








『………はぁっ、はぁ………
ごめん…お待たせ………』









走って出口に向かえば、太宰たちは矢張り外で待っていた。

箕浦と何か話していたようで、此方を全員で振り向く。

長い前髪が目にかかるのを退けながら、汗で首筋に張り付いた髪を風に揺らす。







「ああ、大丈夫さ、丁度話が終わったところだ」







太宰がひらひらと手を振りながら、「おいで」と手招きしてくる。

三人の元に駆け寄れば、乱歩が「ほら行くよー」と言って、先に行ってしまう。

敦が慌てて追いかけて行くのを眺めながら、太宰の顔を覗き見た。








『____太宰さん?』








警察署の上階を見ている太宰に声をかけて、目線の先を追うが、誰も居ない。

首をかしげると、太宰は「何でも無いよ」と言って歩き出してしまうので、敦と同じように慌てて追いかけた。






****






警察署の中で女性のヒールの音が響く。

女性は手に持った資料を見つめながら、ため息を吐いた。








「めんどくさい事をするものじゃな」







呆れたような声に微かな怒りを滲ませた女性の声。

女性の白く細い指が、ある文字を撫でる。

其処には、《天花羽A》の文字が。

女性は、紅の瞳を細め、資料を破いた。








「____これから忙しくなるのぅ」








ころころと喉を鳴らし笑いながら、手の中にある破かれた資料をぐしゃぐしゃに丸めた。

《人を殺して死ねよとて》→←*


ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーキャラ

梶井基次郎


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
87人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年11月8日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。