“何色に見える?” ページ27
アリスと別れ、用意された個室の中にある椅子に腰掛けていた。
部屋にハートの印が所々に記されている為、きっと此の国では何かハートが関係しているのであろう。
ハートの国というくらいだし。
置いてあった書類を引き寄せ、真っ白の裏面を睨む。
数秒経ってから、天井を見た。
そこから漏れて来たのは、ため息であった。
『わかんないなあ………』
取り敢えず、と思い棚に置いてあった羽ペンを取り、書類の裏面に此処まででわかったことを書き込んだ。
その内容をまた睨む。
そしてまた、わからないな、と溜息をついた。
部屋に設置された小窓からは、月が見えた。
____《チェシャー猫みたいで_》
先程鼠が言っていた言葉は蘇る。
確かに月はチェシャー猫のあの丸い瞳のようだった。
だが、どちらかと言えば、太宰と織田が何時も飲んでいる酒の様な色だ。
____《月光に当たると、違う色に見えてしまう事があるんだよ》
いつか、太宰が言っていた言葉。
其れは、満月の夜に、織田と任務を行った時の帰りの事だった筈だ。
標的の情報が髪色しか分からなくて、草の茂った森の中で探すのは大変だったのを覚えている。
____そこで、思い付いた。
現在の時刻を確認。
時計の文字が読めない。
此の世界の古代文字なのだろうか。
そんなことはどうでもいい。
椅子にかけていた上着を手に取り、荒々しく扉を開け、遊戯を終わらせる為に動いた。
****
「__で、こんな所でどうしたの?」
若草の匂いが鼻腔を満たす。
蓮は、ホルスターから、愛銃を抜いた。
鼠がびくりと肩を跳ねさせる。
『そこまでビビらなくていいよ。
別に撃たないからさ。
唯、俺が今から言う質問にしっかりと答えてよね』
鼠は激しく首を縦に振る。
其れを満足げに見て、言葉を紡いだ。
『君はあの夜、森の中で満月の夜に。
今と全く同じ状況で現場を見たんだよね?』
「う、うん………」
『じゃあ、君は本当にアリスと同じ髪色の子を見たのかい?』
「見たよ!
見たさ、本当に…」
『……………
最後だよ。
“此れは何色に見える?”』
「______ッ!」
鼠が唾を飲んだ。
蓮が取り出したのは、銀色のスプーン。
鼠は息を呑み、銃口とスプーンを見比べた。
それから、観念した様に口を開く。
「____桃色に見える」
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Cabby - 太宰さんカッコいいですよね!めっちゃ好きです (2019年10月30日 22時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
akane_朱音 - え、太宰さんかっこよすぎない…?好き() (2019年10月29日 21時) (レス) id: 307f7ba1f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年10月29日 19時