【文スト】人間不信の男装少女はマフィアに入って頑張るそうです。 (ページ6)

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暗い闇の中に意識はいた。

闇の中に飲まれそうになりながらも、意識は必死に一筋の、

目の前に見える光に向かって一生懸命泳いでいた。

だがその光に意識は届く事はなく、闇の中に溺れていった。

《＿＿＿＿嗚呼、またか》

何処からともなく聞こえて来た、くぐもったその呟きは自分の声と似ていた。

＊＊＊＊

『＿＿＿＿＿＿＿＿ん』

「おお、起きたかえ？」

少し眩しいと感じる光に目を開き、声が聞こえて来たと思う方向へ首を巡らせた。

そこには桃色の髪を結い上げ鮮やかな着物に身を包んだ女性がいた。

『＿＿＿＿＿＿＿＿ッ！！』

喉から溢れ出そうになる恐怖に、蓮は歯を食いしばった。

状態を起こし、その場から逃げようとするが体が動かない。

手が動かない為、その方向に目をやると、手は寝台と思しきものに拘束されていた。

足も同じように固定されていた。

これでは逃げれない。

そう考えると、なんとも言いがたい感情が胸を黒く満たす。

女性は心配そうな顔をしてこちらを見て来た。

手を、此方に伸ばして来る。

『アアアアアアァァァァ！！
来るなァ、来るな来るな来るなァァ！！』

絶叫し、ガタガタと寝台を揺らす。

手に血が滲んでいるのが見えた。

だがそれは関係ない。

痛みは感じないのだから。

寝台が不意にひっくり返った。

それと同時に身が投げ出され、寝台の下敷きとなる。

『………………………ぁぁ』

起き上がることができずにいると、女が此方を助けようとするのを見た。

全身の産毛が逆立ち、女に対する拒否反応を起こす。

『来るな！』

そう叫ぶと、女はピタリと止まった。

戸惑っているようだった。

どうしたらいいのかわからず、眉尻を下げていた。

『………《名のないシシャ達は、己の大切な人に時間を分け与える》

【時空操作】』

そう言って、拘束具を壊した。

寝台を直し、状態を起こす。

その際、地面にボタボタと赤い物が垂れた。

不思議に思い頭に手をやると、そこにはぬるりとした感触がある。

「血が………此方へ来るのじゃ」

そう言って女性が手招きをする。

自分の血を握り、女性に【時空操作】でぶつけようとする。

『＿＿＿＿＿＿＿＿ガ、ハァ』

喉の奥から何かが込み上げ、口の中から溢れ出た。

ガボ、と音を立て溢れ落ちたのは血塊だった。

血の水溜りを作り上げたそれを見て、女性は顔を歪めた。