参拾質 ページ39
『______ッ』
「君の考えている事ぐらい分かるさ。
私が何か企んでいるとでも踏んで、短期決戦に入ろうとしたのだろう?」
そう言って太宰はニコリと笑った。
彼の手元には硝煙の立ち上る銃。
そして蓮の足は血が滴っていた。
「飛び込んでくるだけの君に弾を当てるのは簡単だったよ」
『まだ駄目ですか……』
「作戦は良かったと思うがのぅ」
尾崎にそう褒められるが今回の作戦は自信があったため、頰を膨らませる。
痛みは感じないが血の滴る足に触れ、異能を発動し怪我を治した。
少し不貞腐れた蓮を見て太宰は、「聞かなくても分かる事だけど」と前置きしてから言った。
「出迎えたいって言ったのは私を殺す為かい?」
『俺がその目的以外の為に態々太宰幹部の出迎えに行くとお思いで?』
「愚問だったね」
そう言って太宰は怪しげな笑みを浮かべた。
相変わらず良く回る頭で、と心の中で悪態を吐きながら本部へと戻ろうと歩き始めた。
「おや?
お見送りに来たくせに上司の荷物を持っていくと言う気遣いはないのかい?」
『……太宰幹部が俺を補佐じゃないと言ったのでしょう』
自分で言っておきながら少し虚しくなり、止めた足を再び動かす。
何も言わない太宰に振り向きもせず、蓮は部屋へと戻った。
尾崎は、認められない悔しさに顔を悲痛に歪める蓮を黙って見ていた。
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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年9月19日 21時