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参拾弐《織田side》 ページ34

『何に乾杯するの』






そう問うと、織田と坂口は顔を見合わせ頷いた。


「そんなの決まっている」と織田が蓮の瞳を見つめて言う。


首を傾げれば彼等は己の杯を蓮と同様に掲げる。








「「蓮の加入記念だ」」








『………………え』









思いがけなかった言葉に彼女は己の真紅の瞳を見開いた。


呆然とする彼女を尻目にカチャンとグラスを合わせれば、彼等は杯の中身を一口、口に含む。


そして其れから「これ、開けてみろ」と織田は蓮に催促し、
坂口の物も同様に開けさせようとした。


彼女は驚きながらも丁寧に外装を開け、織田から貰った白い箱の中身を確認する。


その瞬間、彼女は更に目を見開いた。







『これって………』








「ヘッドフォンだ」








白い箱の中身に入っていたのは黒を基調としたヘッドフォンであった。


箱から取り出して見れば、其れはしっかりした見た目に反し軽く、
所々にポイントとして蓮の瞳と同じ紅玉の色が入っていた。








「何でヘッドフォン何ですか?

彼女の趣味は別に音楽鑑賞でも無いでしょう」








「否、最近知ったんだ。

蓮の様な症状にはヘッドフォンをすると効果があって、症状が薄れると」








その返答に坂口は成る程と頷いた。


然し、蓮にはその話は聞き覚えがあった。








『作之助さん。

………多分其れ、視線恐怖症の人対象の情報じゃない?』









その言葉に織田は「何、そうだったか」と驚いた様に言った。


だが坂口は何やら考えていた。


其れに気付かず、蓮は茶化すように織田に言い放った。









『まあ………俺が視線恐怖症に成れば意味はあるかもね』









「成る程、その考え方は無かった。

だが、視線恐怖症も加わればお前の生活が困難になるだけだろう」









「冗談だよ」と織田に笑いながら言うと「そうか」と織田は少し安心した様に言った。


続いて、ヘッドフォンを一旦箱に戻し坂口の茶色の包みに手をかける。


薄い其れは直ぐに開けることができ、中身を覗くと其処には黒い紐が入っていた。


首を傾げ乍袋をひっくり返せばその中から出て来たのは黒い紐ではなく、ホルスターだった。


然も、丈夫な素材の。


だが付け方の分からない蓮は坂口に「付けて」と言って上着を脱いだ。

参拾参《織田side》→←参拾壱《織田side》


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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年9月19日 21時

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