拾参 ページ15
「ふむ。
君は孤児だった、という訳だね」
慣れない敬語に苦戦しながらも答えた蓮を見て森は目を細める。
孤児、と言われた時の反応が嫌だった。
哀れみを滲ませた目で人々は蓮を見てくるが、此方としては、
あんな両親の元で暮らすよりも、孤児として生きて行くほうが百倍マシだった。
「此方としてはね、君をマフィアに入れたいと思うのだよ」
『………俺としても、此処で世話になりたい、と思います』
「其処で、君にはある任務に行ってもらう」
任務なる言葉に少々驚いた。
まさかいきなり任務に行かされるとは思わなかったからだ。
尾崎は眉尻を吊り上げ、森に向かって一歩歩み出た。
「鴎外殿、私はこの子に特別な思いがある。
簡単に、死ぬような任務には行かせたくない」
「だが、マフィアに入るとしたら、その壁は通らなければいけない。
其れは紅葉君、君も理解しているだろう?」
「じゃが………」
「大丈夫、簡単には死なせないよ。
太宰君と、中原君にも付いて行ってもらうからね」
「仕方ないの」
太宰と中原の名を聞いて、尾崎はひいた。
この二人なら任せられると考えたのだろう。
「主に蓮君にこの任務は遂行して貰いたい。
だけど、必要になった時は二人を頼っていいからね」
『………わかりました』
「これ、資料」と言って紙束を渡してくる森に歩み寄る。
受け取ろうと手を伸ばした時、森に腕を掴まれた。
『何ですか?』
「………蓮君、何歳?」
『……十一ですが』
「何じゃと?!」
「え、嘘だよね?」
『本当です』
まじまじと蓮を見てから放たれた森の一言に答えると、二人は目を見開いて驚いた。
確かに、蓮は十分な食事を与えられなかった為、
同い年と比べれば体はかなり貧相だが、それでもそこまで驚かれはしないと思っていた。
………そんな事よりも、腕を話して欲しい。
先程から、気持ちが悪くて仕方がないのだ。
他人に触られるというのが嫌な蓮は、顔を思い切り顰めた。
「………ああ、ごめんね、君は人嫌いだったね」
『すいません』
「いや、大丈夫だよ」
そう言って今度こそ資料をもらい、部屋を後にした。
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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年9月19日 21時