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その時、太宰達は蓮の服を捲り上げていた。


それは上半身が全て見えてしまうほどで、上半身にある痛々しい傷が二人の眼下に晒された。






『____見るなッ!!』






声を張り上げたが、手は動かなかった。


二人は此方を見向きもしない。


顔を蓮は歪め、人に見せたくなかった傷を晒したことを屈辱的に感じた。


暫くすると太宰は手を離しYシャツを元に戻す。


そして、真っ直ぐに此方を見てきた。







「____山田 蓮。

君は両親からの虐待を受けて来て体に大量の傷を刻んだ。

それと同時に無痛症も発症__合っているかい?」







太宰のその言葉に、蓮は震えながら頷く。


太宰はその様子に目を細めながら、蓮と距離をとった。







「…危ないだろう、そんな物を向けたら」






そう言って太宰は蓮の手を見た。


その手には硝子片が握られており、赤い鮮血も一緒に滴り落ちている。


蓮の後方に目をやれば、硝子が割れた跡のある棚があった。







『………殺す』







真紅の瞳には憎悪の感情が渦巻き、深い闇を宿していた。


太宰は己を両親と重ねた蓮に挑発的に笑った。







「やれるものなら、やって見給えよ」







『____ッシ!』







短い呼吸音と共に太宰に躍り掛かる蓮。


太宰はそれを軽々と躱す。


そして、蓮の追撃に後ろに跳びのいた。







『《名のないシシャ達は、己の大切な人に時間を分け与える》

【時空操作】!』







そう言って己の血を辺りに撒き散らす蓮。


太宰は大きく横に飛び回避。


そして素早く蓮の背後に回り込んだ。







「君には私の異能、見せてなかったよね」







太宰はそういうと、蓮の細腕を掴み言った。








『____なッ!』








「私の異能力は触れたい能力を無効化する。

____【人間失格】」







太宰の一言で、途中まで凶器と化していた、

蓮の血がただの血となり、医務室に華を咲かせた。







「おい、糞錆、これじゃ姐さんに怒られちまう。

少なくとも俺は何にもやってねェからな」







「ふうん。

まさか中也、自分は手を出してないから平気だって言いたいの?」








「ここまでやったのは手前だ」







「馬鹿だねぇ、姐さんの言っていた《手を出すな》に入る事は、中也もしっかりやってるよ。

そんな事も気付かないなんて、これだから蛞蝓は…」







「こんの糞太宰ィ!」







「中也はチビだから脳みそもチビなんだね」

拾壱→←玖


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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年9月19日 21時

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