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モーンガータ /sm ページ5
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「スマイル、私明日死ぬんだ」
「………………は？」
びしゃり、と水面が揺れた。足を中心に波紋がぷかりぷかりと浮かんでは沈んでいく。
一際大きい波が膝小僧を濡らしてはまた引いて行った。
「あ、濡れちゃった。」
「おい、そうじゃなくて……」
「なんで死ぬんだ、でしょ？私もわかんない」
シワだらけのブラウスが海水に浸っては戻らない。塩っ辛い手をせめてもの気休めで振り、海が身震いしたように飛沫あげる。
「どういうことだよ」
「……ほら、スマイルが大好きな哲学だよ。考えて、考えて、でもわからない。」
「おいっ、行き過ぎると危ない」
伸びてきた手をぱしっ、と軽く払う。外に跳ねている彼の髪の毛が、ふるりと揺れた。潮風に乗って靡いているけれど、その表情に必死さが滲み出てる。
「珍しいね、スマイル。」
「誰のせいだとっ……！！」
地平線に沿うようにかもめが羽を広げる。お日様を塞ぐように並んで飛ぶ鳥達を、眺めるように海面が鱗みたいにきらきらと不規則に光った。
「日も暮れてきたし、帰ろっか」
「……は？」
「言ってみただけだよ。寒いから早く出よ〜」
八月上旬の真夏のある日。
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作者名：りつ | 作成日時：2022年5月16日 18時
