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姿現ししてすぐ目に入ってきたのは、無秩序にうぞうぞと蠢く穢れた血の群れだった。目につくマグルのどれもこれもが、俯き、早足で歩き去っていく。
Aは無意識に腕をさすっていた。ポツポツと鳥肌が立っている。アナスタシアが「穢らわしい…ああ、早く行きましょう。こんなところ1秒でも居たくない」と吐き捨てた。
「出来るだけ息を吸っちゃダメよ」
言われなくてもそうしていたが、Aは微かに頷いた。見慣れない衣服を除けば、見た目には魔法使いとそう変わらないはずなのに、穢れた血どもはどうしてこうも嫌悪感を湧かせ、理解できない虫のように感じさせるのだろう。
キングズ・クロス駅を足早に進み、蠢くマグルの波を泳ぐように進んだ。美しく、前時代的な気品を感じる衣装のアナスタシアや、真っ黒なローブを纏った不自然なヨシュアをじろじろと無遠慮な視線が舐めた。2人はひっそりとAを隠した。眉を顰め、3と4分の1番線にまっすぐと進む。
壁に向かって突き進むヨシュアにAはちいさく息を呑んだ。目を見開いて悲鳴を押し殺したAにふたりは気づかなかったようだ。
両手が塞がっているので壁に手をつくことも出来ない。目を瞑る暇もなく、Aは壁に飲み込まれた。
異様な感覚だった。壁を通り抜けると蠢いていたマグルは消え去り、見慣れた魔法使いたちが溢れていた。真っ赤な蒸気機関車が威圧的に佇んでいる。Aは呆然としてきょろきょろと周囲を見渡した。
また、ひやりとした感覚に襲われ、アナスタシアとヨシュアが現れた。置いていかれたこどものようなAにヨシュアがやっと気づき、慌ててAと目を合わせた。
「すまない、A。おまえはもしかして、キングズ・クロス駅は初めてだったね？心遣いが足りなかった、怖かっただろう」
そっと抱きしめられ、頭を撫でられると少し気分が落ち着いて、同時に恥ずかしいような悔しいようなきもちになった。ヨシュアがAを忘れたことも、自分が怯えたことも、旅立ちの日にちいさな子供扱いされたことも。
「こわくはなかったわ……。そうね、ただ、ちょっと驚いただけ」
本心ではなかったが、Aはそう言った。思いのほかちいさな声になってしまった。
ヨシュアは微笑んで、Aのやわい頬にキスをした。
「強い子だ…A。健やかに、正しく、誇り高く、強くなりなさい」
「はい、お父様」
ヨシュアの温もりが離れると、思った以上の心細さが襲ってきた。
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うたかた(プロフ) - 第一部隊さん» ありがとうございます。最近時間がなくてなかなか書けていませんが、脳内のスリザリン生活をゆっくりしたためたいと思います。 (2018年10月7日 12時) (
レス) id: 0c67ed22ac (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - 凄く心地の良い文章の書き方ですね。とても面白かったです。更新楽しみにしています。頑張ってください。 (2018年10月5日 20時) (レス) id: c19040a7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うたかた | 作成日時：2018年9月19日 13時
