きみは知らない（ym×in） (ページ3)

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side ym

「仕事、やっぱり忙しい？」

「んー、そりゃ前よりは。でももう大分慣れたよ」

「そっか」

伊野尾ちゃんはそう言うけど、やっぱりその笑顔には疲れが滲んでいるようにみえて。

気になっていたのが顔に出たのか、クスクスと笑われた。

「ほんとだって。信用ないなぁ」

「そういうわけじゃないけど、でも」

「でも？」

「なんか悩みとかさ。ないの？」

なんでこんなに気になるのかは自分でもわからない。
けど、さらりとスルーしてはいけない何かが今の伊野尾ちゃんにはある気がした。

「悩み、ねぇ」

「うん」

「あるっちゃ、ある、かな」

「ほんと！？」

思わず身を乗り出す。
目がキラキラしてるんだろうな、ってのが自分でもわかった。

「きかせて？」

「でも別に、そんな大したことじゃ」

「それでいいの。きかせて？」

「……わかった。じゃ、今日ご飯でも行こっか。あいてる？」

「あいてる！行こ！」

押しまくったらしぶしぶながらだけどいいよって言ってくれる。やった。

うきうきしながらどこにしようかな、なんてお店を検索。
白米は必須だよな。

伊野尾ちゃんが優しく見守る横で、やたら機嫌のいい俺。

このときの俺は、なんで自分のテンションがこんなに高いかなんて考えちゃいなかった。