Episode22 ページ25
『セオ』
私は、誰かに、そばにいてもらう事すら望んではいけないのに。わたしは。カイエを。
「そんな顔しないでよ。あれは、アイリスのせいじゃないから。」
私が、号持ちとなったその時からずっと一緒の隊に配属されていた少年はそういう。
「でも。助けられたかもしれない、のに。もっと早く、気付けていたら。」
そりゃ、戦場に出ている身だ。強制的に戦場に出されている身とはいえ、四年もここで過ごしていたら覚悟は決まる。全身全霊を尽くした果ての死なのだから、その責を背負えるのは死んだ当の本人だけだ。と理屈ではわかっている。
けど。
＿＿セオは思う。この少女は、優しすぎるのだと。この絶死の戦場で生き残るためにみんなが真っ先に捨ててしまうそれを。奇跡のように、彼女はそれだけは守り続けている。＿＿
「アイリスはさ、もっと軽く考えていいと思うよ。逆に考えれば、この戦いでカイエ以外、誰も死ななかったんだよ。僕達は長いこと生き残ってるから忘れちゃいそうになるけど。たった一回の戦いを生き残ることだって、すごいことなんだって、忘れないでよ。それにさ、アイリスの役割はシンと同じで、単騎で突撃してたくさん敵を屠る。一番危険な役割なんだからね。まずは生き残った自分をほめなよ。」
アイリスは思う。どうしてこの少年はいつも私のことをこんなにも気にかけ、安心させようとするのだろうか。もう、人間らしいものはすべて、生きるために捨ててしまったというのに。ただただレギオンを弑する殺戮機械へとなり果ててしまった私を。
「ありがとうセオ。でもやっぱり・・仲間いなくなるのは。寂しいね。」
「そうだね。」
私がその番になるのはいつだろうかと、そう、思いながら。夜空を二人、静かに見つめる。
仲間が死んだというのに、そしてこの時間も戦闘を行っている誰かが死んでいるというのに。そんなことはつゆ知らず、とただ、夜空は美しく紺青に染まり、星がきらめき、月はひときわ美しく映っていた。
世界は、美しい。人が死のうが何しようが。レギオンがいくら人を殺そうが。白ブタが何をしようが。残酷で、美しい。
唐突に、涙が滴った。なぜなのかはわからない。カイエが死んだことによる悲しみゆえか。それとも、カイエやほかの仲間たちのようにいつか死んでしまう事への恐怖だろうか。わからないけれども。
私が泣いている間。セオはずっと。私のそばにいてくれた。
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明理(プロフ) - 名前変換できるようにしてくださいぃぃぃぃ！お願いしますっ！！！ (2022年1月13日 19時) (
レス) @page3 id: 0be17a4bd3 (このIDを非表示/違反報告)
わん、 - 名前変換できるようにしてくれると嬉しいです〜 (2021年11月29日 9時) (レス) id: 881e047310 (このIDを非表示/違反報告)
虚(プロフ) - 86エイティシックスの小説はなかなかないので面白かったです！リクエストでシンとアイリスが幼児化(記憶無し)して可愛がられたり、逆に記憶ありで可愛がられてワタワタするのも見てみたいです！続きお待ちしております！ (2021年10月12日 23時) (レス) id: 84abc4118b (このIDを非表示/違反報告)
マロン - 86 エイティシックスの夢小説やっと見つけた！続きめっちゃ気になります！頑張って下さい！ (2021年8月1日 8時) (レス) id: 69d7d22715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まっふるもふもふ x他1人 | 作成日時：2021年5月5日 8時
