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けまとめくんが14匹 ページ14
留三郎side
次の日の朝早く。
実家に帰るというAはごそごそ起き出して準備を始めたようだ。彼女の部屋の前を通ったら音がした。
俺ももう出ようと思う。Aのお見合いを屋根裏から見るなら家に忍び込まなきゃいけないからな。……仮にも好いている人の家に忍び込むとかやりたくなかったなぁ。
「もう出るのかい留三郎」
「すまない伊作。起こしたか？」
部屋を出ようとしたら布団の中で目を擦っている伊作に声をかけられた。
「僕が勝手に起きただけだよ。……頑張ってね」
「……ああ。Aを取り返してくる」
別に取られた訳じゃないし、そもそもAは物じゃないけど、気持ちとしては取られた気分だった。俺はまだ何も言ってないのに。
出門表に名前を書いて例の城に向かう。早く忍務を終わらせてAの家に行かなくてはならないから急がないとな。
早く。早く。早く。
Aが遠くになる前に。
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作者名：香月メル | 作成日時：2021年12月27日 11時
