Blue four-leaf clover.

なにも知らない ページ10

・









どうしようか









病院へ行った方がいいのかな...？









いや、でも









今日は新島さんが来るって言ってたし









邪魔しない方がいいのかな









って私








何言ってんだろう








だって、私








裕太の婚約者だよ？








指輪だって貰ったんだ








堂々と婚約者ですって








言えばいいじゃん








そうだよね








うん、そうしよう









・









バスを乗り継いで









病院にやってきた









は、いいけど









「新島さん！ショッピングモールとか行きませんか？」









「うん、行こう！」









外出許可が出たのか




裕太が新島さんとどこかに出かけようとしているところに





外で鉢合わせしてしまった









「あ、Aちゃん！」






「あはははー、おはよー」









見つかった







こんな所見たくなかった







なんで声を掛けたの？







止めてよ






私が惨めになるだけだから









「...っ」






新島さんバツの悪そうな顔してる









「Aちゃん！俺、外出許可出たから遊びに行ってくるよ」





嬉しそうに言う裕太









「そっか...いってらっしゃい」





これが精いっぱい








「あの、ごめんなさい」







新島さんが頭を下げる







その姿を見たら何か怒りが込み上げて来た








「な...にが...？」









「Aちゃん...？」









裕太も私の様子に気づいたのか不思議そうにこっちを見る









「なにがごめんなさいなんですか...？


裕太を交通事故に遭わせたからですか？


裕太の記憶を奪ったからですか？


裕太の気持ちを奪ったからですか？


裕太と出かけるからですか？


私を惨めにさせたからですか？







私より綺麗だからですか？」








今の新島さんにはどれも当てはまるだろう




新島さんが綺麗だから裕太の気持ちも新島さんへと向かったんだから









「謝るんだったら...


返してください！





私の人生も、裕太も




返してください！」








「Aちゃん、どうしたの...？」








何も知らないんだね








「裕太はしらなくていいよ。ごめん。帰る」








知らなくていい









知らずに裕太が幸せなら








それでいい








あの二人








お似合いだからくっつけばいい







もう知らない








どうにでもなればいい







・

届く距離にある指輪→←新島さん

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す