玉森家の執事【太輔】Part４ 終

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震える手で電話する









周りにある建物の特徴などを聞かれたから









駅名を言ったら









「直ぐに行く」









そう言って電話を切られてしまった









私はスマホをポケットにしまい









改めて辺りを見渡す









見たことの無い道









見たことの無いお店









聞いたことの無い駅名









どれもこれも









全て私を孤独へと導く









今更だけど









太輔と別れるんじゃなかった









なんて後悔してる自分が居る









でも、別れてなかったら太輔が幸せになれない









そう考えたら、私はどんなに傷ついても耐えていける気がする









目の前を通るタクシー









もちろん乗り方なんて知ってるわけない









町はいろんな色で溢れている









でも、今の私にはただの白黒の世界にしか見えない









そんな時、









トントンッ









と後ろから肩を叩かれた









私の背筋が固まる









もしかしたら、もしかすると









太輔かも知れない









なんて期待してる私









馬鹿だってのは分かってる









でも、太輔だったらと思うと









体が固まってしまう









そんな少しの期待を胸に









後ろを振り向くと









・









「A」









少し微笑みながら私の名前を呼ぶ









「迎えに上がりました。お嬢様？」









A「宏くん...」









宏くんの姿があった









なんだ、馬鹿みたい









変な期待して









でも何でだろう









宏くんの顔を見て安心したのか









涙がまた溢れて止まらなくなった









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