コミュ障の鬼殺隊士は誤解と冷や汗を撒き散らしながら今日も往く。 (ページ30)

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勘違い27個ページ30

『…でも、そもそも私の態度が悪くなければこんなことにはならなかったわけで…』

なおも言い訳しようとする私に彼はいっそう強い口調で言い放った。

「Aちゃん、1悪いからって10悪くなるわけじゃないんだよ。いくらきみの態度が悪くても、彼らがその他の事で君のことを罵倒する資格なんて何処にもないんだよ！それが女だとか異国人だとか生まれつきの理由で蔑まれるなら尚更だ！」

「きみは何も悪くない、とは言えない。でもだからってこんな事を許す理由にはこっれっぽっちもならないんだ！！」

彼の言葉を聞いて、意固地になっていた心の堤防が崩れて涙が次から次へと流れてくる。

どうして彼はこんなにも私が欲しい言葉を言ってくれるんだろう。彼の言葉は珍しくひねくれることなく私の胸にすとんと落ちた。

未だに号泣する私に戸惑ったのか彼は涙を拭うためのハンカチを探して、結局無かったのか黄色い羽織の袖口で私の涙を拭う。

「ごめんね、いきなり大きな声出したりして…怖かったよね、びっくりさせちゃったよね、ごめんね……」

彼の手つきは優しく、怖い夢を見て親に泣きついた幼子にするかのように私の頭を撫でた。

私はさながら彼に慰められる幼子のように横に緩く首を振った。

『違うんです、私……』

何か言いたいのに、貴方に感謝を伝えたいのに嗚咽で上手く声が出せない。

彼は私の手を取って、「大丈夫。ゆっくりで大丈夫だから。」と言って優しく宥めた。

『私、ずっとこんな風に虐められるのは仕方ないって思ってたんです…私は他の人みたいに上手に話せないから。だから、誰に何を言われても否定できなくて。』

『そのうち人と話すのも怖くなっちゃって、余計に刺々しい言い方しかできなくて。何しても悪いようにしか捉えられなくて。』

なんにもできない私。本当は全然強くない、付け焼き刃で強くなった私。

だから本当に強い彼らには何も弁明は出来ないのだと思い込んでいた。

『でもっ…貴方が、そんなにも優しいから…っ！どんどん私の事を好きにさせてくから…っ！！』

『貴方にだけは勘違いされたくないって、弁明したいって思っちゃったんですよぉっ…！全部全部貴方のせいです！ばぁかっ！！』

そこからもう泣き崩れて何も言えなくなる私。あぁもう本当に一言余計なんだから。

でも彼はすっごく笑顔だから、もういいや。