どったんばったんプロローグ ページ1
べちゃり。
薄緑の刃が鬼の頸を軽やかに落とし、虚しくも地面に転がった。
『ふふ、哀れですねぇ♪』
フリルがたっぷりとあしらわれた袖口を口元に寄せ、幼い容姿の少女隊士は愉快そうにくつくつと笑った。
「うわ、見ろよ。Aさんまた軽々鬼を狩ってるぞ。」
「柱になるのもそう遠くないって話だぜ?つっても…なぁ?」
階級の低い隊士達がその少女を見てこそこそと囁く。
「あぁ。Aさん、いっつもツンケンしてるし口悪いんだよなぁ。見た目はいいのに。」
「鬼に対して言うだけならマシだけど、この前は上の階級の隊士に向かって邪魔とか言ったらしいぜ?」
「うっわマジか。あんま関わりたくねー」
ヒソヒソと噂話されるなんてもう慣れたことだった。少女にとって、こういうのはほおっておくのが1番良いのだ。
というよりも、そもそもの話。
『(うわぁ、どうしましょう…また思ってもないこと言ってしまいました…こ、こんなこと言うつもりはなかったのに人目があると分かったらつい口が勝手に…)』
本人は大層小心者の人見知りだからである。噂話の訂正なんて到底できるわけもなく。
「Aさん!ここいらの鬼はあらかた殲滅出来ました!これで任務は完了です!」
物陰からあらわれ、すたっと少女の前にしゃがみ報告をする生真面目そうな青年隊士を一瞥すると、少女はこう言った。
『はぁ、念の為の見回りくらい済ませてから任務完了の報告してくれますぅ〜?貴方鬼を狩るの初めてなんですかぁ?(特別意訳:わかりました。でも見回りを済ませてからでないと潰し残しが出るかもしれないので次からは見回りの後に報告に来てくださいね。)』
煽るようにそう言ってのけた少女に周りは鋭い視線を向けたが少女は何処吹く風といったように涼しげに佇んでいる。
ここまできたらもうみなさん分かるかもしれない。
この少女、人見知りが過ぎるため何を話すにもなんだか悪役っぽい感じに喋ってしまうのである。
木の影で周りから表情が伺えない場所まで来ると目を閉じて一つ深呼吸。そして唇を強くきゅっと噛み締めると_______
『(またやっちまったーーーー!!!鬼の潰し残しが怖いのと、報告の彼がいきなりでてきたのでビビってまたなんかキツく言ってしまいましたーー!!)』
尚、本人の心の中は見ての通りだいぶコミカルだ。コミュ障の鬼殺隊士は、誤解と冷や汗を撒き散らしながら今日も往く。
これは、人見知りとコミュ障が化学反応で爆発した物語である。
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エナ(プロフ) - 腹黒やばないがツボった (2019年9月15日 12時) (レス) id: 11aae5328b (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - アリアナさん» お返事遅れてすみません!時透くんですね、了解です! (2019年9月4日 15時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
アリアナ - もし良ければ番外編とかで時透くんとの絡みがあったらうれしいです。 (2019年9月2日 22時) (レス) id: 99796aaed6 (このIDを非表示/違反報告)
さんまるてぃん(プロフ) - 無気力みかんさん» 乙音ちゃん良いですよね…ツンデレの師として崇めてます (2019年8月27日 20時) (レス) id: c51e84ebb6 (このIDを非表示/違反報告)
無気力みかん(プロフ) - お、乙音ちゃんみたいだ………萌え (2019年8月26日 18時) (レス) id: d571eebd63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さんまるてぃん | 作成日時:2019年8月19日 13時