再会〜待ってる��（雅貴side） ページ11
「わしは一眠りさせてもらおうかと思うからのお
後はお若いお二人で…じゃ」
道場を出て少しすると、森岡先生が狸寝入りをはじめてしまった
突然のことに、俺とAは顔を見合わせ
どちらからともなくたまらず吹き出した
「森岡先生には敵わないなぁ」
森岡先生の事だ、俺の気持ちなんかとっくにお見通しで
恐らく気を使って下さったのだ
二人きりの時間を許してもらえるという事は、少なくとも俺たちの関係を反対するつもりはないと受け取って構わないだろう
さっきまで五月蝿かったグラウンドの掛け声が、今は心地いい声援にすら聞こえる
俺はAに優しく笑いかけ、再び歩き出した
「にしても、まさかAが森岡先生の親戚だったとはなあ」
森岡先生があえて「家族のもの」と言ったのだからたぶん孫ではないのだろう
それにこう見えて…と言うのも失礼だが、森岡先生は意外とお若いので
二十歳の孫が出来るにはまだ少し早い
「私だって、マサさんが風舞の関係者だなんて聞いてないよ」
風に踊るスカートを指先で撫でつけながら栗色の瞳で俺を見上げる
柔らかな春の風にふわふわとなびく、透き通った栗色の髪とリーフグリーンのワンピース
傾いてきた太陽で赤く染まった肌に触れたいと思いながら俺は軽口を返した
それから、今日出会ってからずっと伝えたかったことを口にする
「Aが髪下ろしてるのもスカート履いてるのも初めて見たな」
俺の言葉に彼女は暫し思案し、たしかに、と呟いた
「そういうのもいいな。似合ってる。」
本心からそう思っていはいるが、正直少なからず俺を意識してもらいたいという下心もあった
俺の思惑通り彼女は夕陽で染まった肌をさらに紅潮させ驚いている
かわいらしく慌てる様子をみて、これが『愛しい』という感情なのかもしれないと思った
――――
「…そういえば、風舞弓道部にいたってことは…
弓…続けてるってことだよね。嬉しい。」
落ち着きを取り戻した彼女の口から唐突に紡がれる言葉
何事かと隣に視線を移すと、とても嬉しそうにほほ笑む彼女が目に入った
それはAのおかげだと笑顔を返すと、彼女もまたその何倍も嬉しそうに
きらきらと夕陽に煌めく眩しい笑顔を返してくれる
「マサさんが弓を続けてくれるなら何度だっていうよ。
マサさんの射が好き。ずっと見ていたい。悩んだり自信がなくなったらいつでも私を呼んで。
私は何度でも惜しみなくあなたに好きだと伝えるから」
ああ…なんて愛しいんだろう
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まんじゅう - 凄く面白いです！更新待ってます( *´꒳`* ) (12月30日 6時) (
レス) @page12 id: 2ede693103 (このIDを非表示/違反報告)
まま - マサさんの心情の表現もよかったし、続きめちゃくちゃ気になります！！ (2023年3月19日 0時) (レス) @page12 id: 21c8ee624a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さのすけ | 作者ホームページ：https://twitter.com/sanomasa0810
作成日時：2019年7月1日 1時
