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意外な再会 ページ3

来客用のスリッパから靴に履き替え
溌剌とした掛け声の飛び交うグランドを横目に歩き出す

風舞高校は文武両道が校訓と聞いていたが
校訓の通り部活動もかなり活発なようだ


旧校舎の入り口を通り過ぎ少し歩くと
弓道場の屋根が見えてくる

もう少し近づくとパンッという的中音が聞こえてきた


当初のぼろぼろな状態を知っている私としては
ここで学生達が弓を引いているのが信じられなくもあり、嬉しくもあった

(すごい…本当に再生している。道場も嬉しそう…)

矢庭を覗いてみたい気持ちもあったが
まずはおじいちゃんがいるかどうか、確認を先にと
弓道場の入り口をゆっくりとスライドさせる

改装したばかりできれいな玄関に
さわやかな春の風が吹き抜ける

「ごめんくださ〜い…」

靴を脱ぎ揃えて
一段高くなった床へと1歩ふみ出す

道場の凛と澄み渡った
神聖な空気が私はとても好きだ

ここの空気は厳かと言うより、高校の弓道場らしい活気に満ち溢れた
さわやかな雰囲気だった

ロッカーの直ぐ横にある道場の入り口を視界の端にとらえ、小さく息を吐く
身体を隠し練習の邪魔にならないようにと、顔だけ出し中の様子をうかがう
射手の集中を妨げないよう、タイミングを見計らい声をかける


「…失礼します。森岡富夫の家族の者で……」


ふわりと風が通り過ぎる
頬に感じる暖かさこそ違えど、私と彼の始まりを告げたあの風と
同じ香りをまとっていた気がした

そんな私の予感を裏付けるよう
顔を上げ一番最初に目に入ったのは
ずっと会いたいと思い描いていたあの紺藍の瞳だった


こんなところで会えるなんて

喜びと驚きで一瞬時が止まった
そんな私が言葉を発するよりも早く、道場の奥から驚きの声が上がる


「「Aっ!?」」


声を上げたのは、目の前でやさしげな紺藍の瞳を見開いている彼ではなく

更にその奥



そこには見覚えのある赤髪と無防備なおでこの少年が
それぞれ口をあんぐりと開け、隙だらけの表情でこちらを見つめていた

風舞高校弓道部→←職員室



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設定タグ:ツルネ , 滝川雅貴 , マサさん   
作品ジャンル:アニメ
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まんじゅう - 凄く面白いです!更新待ってます( *´꒳`* ) (12月30日 6時) (レス) @page12 id: 2ede693103 (このIDを非表示/違反報告)
まま - マサさんの心情の表現もよかったし、続きめちゃくちゃ気になります!! (2023年3月19日 0時) (レス) @page12 id: 21c8ee624a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さのすけ | 作者ホームページ:https://twitter.com/sanomasa0810  
作成日時:2019年7月1日 1時

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