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*
あれから数日たち、浦田さんに声をかけ続ける毎日が続いていた。
ハエみたいな対応されたけど。
美保と浦田さんの話をするとき、もはやお決まりとなった屋上で、美保がお決まりとなった言葉で聞いてくる。
「で、今日は何するの?」
「ふっふっふ...今日は浦田さんを校門前で待ち伏せして、一緒に帰ろうと思います!!」
「おぉー。」
よくやるわおまえも...と呟く美保。
そりゃあ、あいつをオトすためだからね!
風か強い屋上。ギュッと拳をにぎりしめた。
というのが、数時間前のこと。
私は校門前で浦田さんを待っていた。
「クション!!」
ズーッと鼻水をすする。
まだかな、おそくない?
最終下校時刻から、もう二時間はたっている。もう日は完全に沈んでしまっていて、真っ暗だ。
美保が、生徒会の仕事があるから、少し遅くなるんじゃない?と言ってたけど、まさかこんなに遅くまで帰らないとは...。
「あ!あれ...。」
暗闇になれてしまった目が、一つのシルエットを見つける。
あの小さめの人影..まちがいない。浦田さんだ。
「浦田さーーーーーーーん!!
一緒に帰ろ?」
手をブンブンすると、こっちに気づいたみたいで、浦田さんが近づいてくる。
「ちょ、何でおま..「浦田さんと帰りたくて!!」
しばらくの沈黙のあと。
嫌だ、と背を向けて歩き出す浦田さん。
え!?ここまでの私の苦労は!?
思わず、手をつかんで引き留めてしまう。
「え、待って!!」
すると、浦田さんは驚いた様子で、「冷たっ!!」と声をあげる。
「あ、ごめん...。」
「...お前、まさか今までずっと外でまってたの...?」
「..?うん。生徒会の仕事大変なんだね、思ったより待っちゃった。」
はは、と笑いを溢す。
「...ばかじゃねーの。
これ、やるわ。」
ヒュッと投げられたものを慌ててキャッチすると、
「カイロ...?」
「それで、手あたためとけ。」
口を、ポカーンと開ける。
あの浦田さんが、やさしい...?
「何、その顔。...いくぞ。」
踵をかえし、再び歩き出した浦田さん。
「え、ちょ待ってよ!!」
遠ざかる後ろ姿に向かって走りだした。
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嗄乃 - ホシグモさん» コメントありがとうございます!ぐへ……ぐへへ……(変態)ついにデレ浦田さんを書くときがっっ!! (2018年7月31日 9時) (レス) id: 500f12b7ce (このIDを非表示/違反報告)
ホシグモ - お?お?お?うらたさん…!あなたまさか…!いや〜実に続きが楽しみですね〜(ニヤニヤ) (2018年7月31日 0時) (レス) id: c0bf021662 (このIDを非表示/違反報告)
嗄乃 - エデンの園さん» うわぁああ、そのように言って頂けて嬉しいです!!更新ペース遅くて申し訳ないです…。夢主ちゃんと浦田さんを早くくっつけちゃうためにも、バンバン更新したいです!!いや、します!! (2018年7月30日 20時) (レス) id: 500f12b7ce (このIDを非表示/違反報告)
エデンの園(プロフ) - めっっっちゃ面白いんですけど!!大好きです!!頑張ってくださいね!! (2018年7月30日 6時) (レス) id: 897b34fdb6 (このIDを非表示/違反報告)
嗄乃 - ホシグモさん» いつもコメントありがとうございます!!うーん、恋をしたことがない超鈍感夢主ですからね...。気づくのはまだまだ先になりそうです(笑) (2018年7月10日 22時) (レス) id: 500f12b7ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:嗄乃_さの | 作成日時:2018年6月9日 21時