となりの佐野くん【佐野玲於】 (ページ42)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:243,730 hit

42 ページ42

退屈な日々を送っていて

いつしか卒業式

俺のお母さんが気を利かせて

あいつと写真を撮ることになった

写真を撮る時

やっぱり距離を置かれていて

あのころにはもう戻れないんだと

思い知らされた

お母さん同士が喋っていて

2人きりになった

気まずくて

「元気だった？」

なんて変なこと聞いてしまう

『うん』

『玲於くんは？元気？』

気を使って話してくれてるんだろうな

口調からして気を使っているとわかる

気使ってる？なんて言ったら

なんでわかるの！って

驚いてまた笑ってくれる？

お前のことなんか

全部わかってんだよ

そう言ったら君はどんな顔する？

でも俺にはもうそんな事聞く資格なんかない

うん。と返事すると

『そっか、よかった』

と、あの頃と同じ笑顔を俺に向ける

そして目に涙を浮かべる

ああ。ダメだ俺

とことん君に惚れてる

その笑顔には適わない

でも涙を浮かべてるのはなぜ？

もしかして君も…

そんなわけない。

心の中にそう言い聞かせて

あの事を言おうとした

「あ、あの…」

A母「Aー！もう帰るわよー！」

『あ、うん！』

結局ずっと言おうとしてたことは言えなくて

『じゃあね、バイバイ』

君は笑顔で俺にそう言った

どこか切なそうなのは気のせいかな

歩いている君の後ろ姿

とても小さく見えた

あのさ_______

俺_______

Aとまたあの頃みたいに喋りたいから_______

同じ高校受けたんだ_______

それで、このバカな俺が受かったんだよ_______

それもこれもすべて君のおかげ_______

本当にありがとう_______

俺、決めた_______

もう逃げない_______

諦めない_______

だからさ_______

待っててよ_______

俺がまた君を笑顔にするから_______

届くはずのないこの言葉を

君の後ろ姿になげかけた

そしてナミダがこぼれないように

雲ひとつない空を見上げた