となりの佐野くん【佐野玲於】 (ページ30)

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それからしばらくは玲於くんに会うこともなく

楽しいはずの夏休みは

あっけなく終わった

家族ぐるみで仲のいい私の家族と玲於くんの家族

毎年恒例のバーベキューも

私は体調が悪いと言って参加しなくなった

それでも毎年玲於くんは来ていたみたいだけど

私は行くのが怖くて行けなかった

学校が始まっても

どちらからでもなく避けるようになって

あっという間に卒業

卒業式の日

玲於くんのお母さんに呼ばれて

門の所で待っていると

玲於くんの家族が来て

写真を撮ろうと言われた

断る理由もないし

写真を撮った

でも私達2人の間には変な距離ができていて

そのことを指摘しなかった玲於くんのお母さん

多分気を使ってくれていたんだと思う

本当にいい人だと思った

それから私のお母さんと玲於くんのお母さんが喋りだして

2人だけ取り残された

流石に気まづいから喋りかけようとした時

玲於「元気だった？」

まさか喋りかけられるとは思っていなかった

『うん』

家隣なのになんでそんな事聞くんだろう

これはこれで玲於くんなりの優しさなんだろうな

私が気まづくならないように喋りかけてくれたんたよね

『玲於くんは？元気？』

玲於「うん。」

『そっか、よかった』

これで本当に最後なんだと思うと

自然と涙が出てきた

家が隣だからってもう会えない

喋って声を聞くことも出来ない

玲於「あ、あの…」

母「Aー！もう帰るわよー」

『あ、うん！』

『じゃあね、バイバイ』

今の自分にできる精一杯の笑顔を玲於くんに向けた

玲於くんとも

この気持ちとも

もうさよならしなくちゃ

なぜあんな事をしたのか理由も聞けないまま

私は玲於くんに背を向けた

別れを告げた玲於くんの顔は

どこか悲しそうで

でもその理由も今の私に聞く権利はない

玲於くん_______

大好きだよ_______

今も、これからもずっと_______

私は玲於くんの隣にいたかった_______

でも私にはできない_______

ごめんね、ありがとう。_______

大好きな玲於くん_______

このナミダは友達との別れるのが寂しいナミダ

決して玲於くんに向けてのナミダではない

そう自分に言い聞かせた