もうなにもいらない【佐野万次郎】 (ページ3)

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「別れよう、A」

『……は、？』

え、なんて言った？別れよう？
どういうこと…？

『あっ、そっか佐野！そろそろ私の誕生日だから
ドッキリとかでしょ！いやだな「違ぇよ」

『……え？』

「冗談じゃない、俺と別れろ」

何言ってんの、佐野

『やだ、絶対やだ、なんで？私何かした？』

「お前は何もしてねぇ、俺がもうお前といてやれねぇだけだ。Aは成績もいいし、受験勉強頑張っていい高校いけよ」

早口で私に何か言ってる佐野、
私はまだ「別れよう」の言葉の意味が理解出来ず
頭が真っ白の状態だった。

『私納得してないし、別れない』

佐野のこと大好きだもん、
一緒にいたい離れたくない離したくない

お願い、佐野

私はその時泣いていたと思う。
佐野は私の顔を見てまた苦しそうな顔をした
下唇を噛んで、溢れだしそうな何かを必死に止めているような、今思えばそんな感じだった。

私はやっぱお前のこと離せねぇ、俺といろ、って
言ってくれるの期待してたんだろうな。

そんな淡い期待から佐野に思いっきり抱きついた
力一杯、離すもんかと

固まる佐野の身体。
私を拒まない佐野に、少し期待した

だけど、

「もう、お前とは会わねぇ、東卍の集会にも顔出すな、迷惑なんだよ」

そう言って、私を突き放した。

ねぇ、なんで。