もうなにもいらない【佐野万次郎】 (ページ17)

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予想外ページ17

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少し長い夢を見ていた。佐野との思い出だ

ガラケーの振動で目が覚めたんだった。携帯を開くとエマからメールが届いてた

《今日、会おうよ》

＿＿＿

『ごめんね、遅くなっちゃって』

「ううん、ウチが急に誘っちゃったし大丈夫」

エマとは久しぶりに会う。
中学2年生ってこんなに色っぽかったっけな、
私より大きい膨らみとか、長いまつ毛、綺麗な肌、ほんと可愛い

「Aがマイキーと別れてからしばらく会ってなかったし話したかった」

ぎゅっと抱きついてくるエマ、甘い香水の匂いと、佐野と同じ柔軟剤の香りが鼻に届いた

.

よくエマと行ってたカフェに入って向かい合って座る
今日は雲行き怪しいし、入って正解だったかも

『そんで、急にどうしたのエマ』

「…ねぇA、ウチと前話したこと覚えてる？」

ウチとドラケン、Aとマイキーでダブルデート行くんだ！あ、ウチがAをイメチェンさせる！メイクも服も変えて、マイキー惚れ直させちゃお♡

それで途中からA達とは別れて、ドラケンと2人きりになってさぁ、そのときにウチ言うんだ、好きって＿＿＿＿

3ヶ月前、エマが語っていた言葉を思い出した。楽しそうに私に話すエマが可愛くて可愛くて、

そんなの忘れるわけないじゃん

『覚えてるよ、ダブルデートの話』

行きたかったなぁ、と小さく吐くと、エマは俯いた
あのさ、とエマが言う

「…A、マイキーとあって欲しいんだ」

『……え、』

私と、佐野に会って欲しい…？
なんで？うちら別れたんだよ。しかもあんな酷い別れ方で

「マイキー、Aと別れてから東卍にいる時はいつも通りらしいんだけど、家に帰ってきてからは毎日死んでるよ」

毎日浮かない顔してて、夜なったらモヤモヤしてるのかバイク乗ってどっか行っちゃうし、

エマが続けるけど、全然言葉が入ってこなかった

佐野が、毎日元気ないってこと…？私と別れてから？

じゃあなんで佐野は私のこと振ったの
もしかしたら、他に理由があるのかもなんてまた期待してしまう

「だから、もっかいちゃんと話して欲しいんだよね」

『だけど、佐野は…っ』

「よぉ、お前らふたりか？」

後ろから低い声がとぶ
小学校から聞き慣れてる声だ

「ドラケンじゃん、それに……」

振り向くとドラケンがいた
その後ろにはそっぽむいて立ってる＿＿

『…佐野』