サイケデリック・アップルパイ　　

暇潰しの人探し ページ12

無花果はアリーナの壁にもたれかかり、退屈そうに話を聞いていた
今日の議題はこの前保健委員会で中断してしまった活動内容・目標の発表と、追い返す形になってしまった高校生たちへの対応だ。

―――こんなこと、脳みその腐った大人がやればいいのに。

無花果は自分が２５歳であることをすっかり棚に上げ、暇つぶしに林檎と冴花を探すことにした。

―――いたいた、林檎ちゃん。

林檎は最後列でグーグーと眠りこけ、話など聞いていなかった。彼女はおそらく今日の議題すらも知らないのであろう。

―――あれは…影月と清野か。

生徒会席では清野利穂子が会場を監視し、影月拓未は相変わらずやる気がなさそうな目で遠くをボーっと見つめている。時折、頬杖をついた手をずらしているということは、話だけは聞いている証拠だ。

西園寺や美堂はどこにいるのだろうと不思議に思いながら、無花果はあることに気付いた。

――――冴花ちゃんは？

会場からは、冴花が忽然と姿を消していた。真面目で常識人な彼女の行動とは到底思えない。何か理由があったとしても冴花なら無断で休むことはないだろうし、林檎がここにきているということは彼女が引っ張ってきたに違いない。
無花果は、冴花が集会にいないのには何か深い訳があるような気がしてならなかった。

「さ、行くか」

無花果は軽く息を吐きながら教師陣と生徒会がこちらに気付いていないことを確認すると、そのままするりと外へ抜け出た。

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