・余裕なんてない Cedric Diggory リクエスト ページ40
無駄に優しくて、無駄に優秀で、無駄にかっこよくて、無駄に笑顔が似合う。
余裕がないのはいつも私だけで、
醜い自分が嫌になる。
＊
『気づいてよ…』
ああ、最悪だ。
思わず口をついて出た言葉に、貴方は驚いたような表情をしている。
『いつもいつも、私だけ…こんなに余裕がなくて、苦しいのに…！』
人気のない渡り廊下に、私の声だけが響く。
窓の外は私の気持ちのように、どんよりと雲のベールがかかっていた。
学年も寮も違うセドリックとは、会う時間が少ないのは仕方ないとわかってる。
それでも、私より長く隣に居られるあの子に、
私より少し大人で、ずっと綺麗なチョウに、
私は嫉妬している。
「Aっ…」
『どうして…ねえ…っ！』
こんなこと、貴方を困らせるだけだとわかってるのに。
嫌われるって、わかってるのに。
どろどろとした感情に歯止めが効かない。
そんな自分が馬鹿みたいで、嫌になって、涙が溢れた。
『私、私はっーーーー』
突然、ぎゅっと抱き寄せられた。
泣いているのか、怒っているのか、ぐちゃぐちゃな感情のまま、私は戸惑っていた。
『セ、ドリック…？』
「気づいてないのは君の方だよ…A」
貴方の声が、貴方の温もりが、私の心臓の音を次第に加速させていく。
「…僕だって余裕なんかない」
弱々しい、触れたら今にも壊れてしまいそうな声だった。
「他の人に君が笑いかけてるのを見ると、自分だけのものにしたくてたまらないし、君の時間を独り占めしたいよ……でも」
セドリックの頭が、私の肩にもたれる。
「君に嫌われたくなかったんだ」
お互いに嫉妬して、
お互いにお互いのことしか見えていなかった。
安堵してせき止めるものがなくなったのか、とめどなく涙が溢れる。
『ごめんね、私…』
「泣かないで」
彼の優しいキスが、私の涙で濡れた頬に落ちる。
ぽろぽろと溢れる涙は、何度も貴方の唇にすくわれた。
「僕も君も、お互いのことしか見えてなかったのに…すれ違ってたんだね」
『馬鹿だなぁ…私』
「ねえ、A。
これからも、僕だけを見てよ」
まっすぐな貴方の瞳に吸い込まれて、
もうすでに、私には貴方しか見えていない。
『うん。余所見なんてしない』
貴方の顔が近づいて、私は目を閉じる。
いつも、私は貴方の唇の優しい温もりに溺れている。
・雨に憧れて Remus John Lupin リクエスト→←・たった一つの弱点 James Potter リクエスト
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スピカブラック - イレイさん» まだですか？ (2020年10月20日 2時) (
レス) id: b5e377f0b8 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - リクでセブで甘で書いて下さい (2020年9月24日 3時) (レス) id: b5e377f0b8 (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - いつも読ませてもらってます！よければジョージと夢主ちゃんがホグワーツでラブラブする話をお願いします！ (2020年3月21日 11時) (レス) id: e2056a58cc (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - 出来ればで大丈夫です。頑張ってください(*’ω’*) (2018年7月23日 21時) (レス) id: b6f3460812 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - リクエストokなら、フレッドをお願いします。シチュエーションokなら、ケンカップルやったけど、結婚を約束していた2人。でも、最期の戦いで夢主ちゃんが、フレッドを庇って死んじゃうのでお願いします。因みに夢主ちゃんは、手紙を書き残したので、お願いします。 (2018年7月23日 21時) (レス) id: b6f3460812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イレイ | 作成日時：2015年8月11日 10時
