不幸な愛のお話 (ページ2)

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目覚め〈 Ⅰ 〉ページ2

目が覚めると私は知らない部屋にいた

『ここ…どこ？私確か教会の帰り道で…』

辺りを見回すと、何だか薄暗い部屋だった。

『っ！…これって血…？びっくりした…』

部屋のあちこちに血痕が目立つ。

立ち上がろうとすると、誰も居なかったはずの背後から声がした。

「あ、おはよう」
『！』

驚いて後ろを見ると、知らない男の人が立っていた。彼は笑顔で近づいて来た。

「そんな驚かないでよ笑改めましてこんにちは。僕はチョロ松」

『……こんにちは』

まだ混乱しているけれど、彼の人当たりの良さそうな笑顔にほっとした。

チ「取り敢えず、混乱してるみたいだから僕が状況を説明するよ」

『は、はい』

チ「簡単に言うと…Aちゃん、君は誘拐されたんだよ」

『えぇっ誘拐！？』

チ「うん、怪しい男達が君を担いで来てたのを僕はたまたま見たんだ。君は眠らされてたんだと思う」

『その誘拐した人達っていうのは…』

チ「顔は良く見えなかったな。でも、君をここに放置してどこかに行ったよ」

『どこかに……あれ？』

チ「どうかした？」

『そういえば、どうして私の名前知ってるんですか…？』

チョロ松さんの笑顔が一瞬崩れた。
そもそもこの人は何でここに居たんだろう？

チ「…そっか。君は覚えてないかもしれないけど、僕達は昔会ったことがあるんだよ」

『！…そうだったんですね、すみません』

チョロ松さんの顔をよく見てみたけれど、見覚えは全く無い…

見つめすぎたせいか、彼は耳を少し赤らめて、動揺したように目を逸らしてしまった。

チ「…っそれよりAちゃん、幸いなことに君は縛られてもないし満身創痍って訳でもない」

チョロ松さんはすぐに笑顔に戻って私の手を握ったが、その手はとても冷たくて少し驚いた。

チ「あいつらが戻ってくる前にここから脱出した方が良いんじゃない？」

『そう…ですね』

この人を信頼してもいいのかな…

そんな事を内心思いながらも、私はチョロ松さんに引っ張られるまま歩き出した。