いるはずのない ページ6
僕らの手を引いた少女は、電車の中で出会ったあの少女だった。
相変わらずどこかで見たような気がしたが、よく思い出せないし、考えるのをやめた。
「あーぁ、やっぱり巻き込まれちゃったかぁ」
はぁ、と一度深いため息をついて、彼女は言った。
「んふふ、吃驚したでしょ。ごめんね、コトワリさまには悪気はないの」
「コトワリ…さま?」
聞いたことがあるような名前だ。
「…もしかして、あの神社に祀られていた神様の名前?」
「せーかい!おねぇさんよくわかったねぇ、すごーい!」
そういえばたしかに、あの神社にはそんなことが書いてあった。
「…でも鏡花ちゃん、どうしてそんなこと思ったの?それに、あんな怖いものが神様だなんて」
「神社の説明に「もういやだ」って言ったら神様が現れるって書いてあった。それに、アレが神様である証拠は無い。異能生命体かもしれない」
確かにそうだ。
コトワリさま、というのが本当に神様だという証拠は無い。
神社に祀られていたものと同じ名前だからといって、
それが神様だとは限らないのだ。
「そこに関してはわたしも詳しくは知らないし、コトワリさまが神さまだってことも信じなくていいよ。
でも、コトワリさまは私たちを助けてくれる。
私たちが助けを求める限りはね。」
「それで…私たちはどうしたらいいの?貴方に引っ張られてここに来るまでの間にも、黒い靄とか、私たちに害を成しそうなものはいたんだけど」
それもそうだ。そもそも此処が何処かさえ分かっていない。
「そうだなぁ…じゃあまず此処の説明をしようか!
此処は商店街の神社跡。本当は此処を壊してデパートを作りたかったらしいんだけど、事故が多発して出来てない。
昔は此処に百足の神様がいたんだよ!」
「百足⁉百足ってあの黒くてびかびか光ってるあの…?」
「そーだよ!もう力が弱くなって見えないけど、今でも此処は安全地帯なの。だから君らも此処に連れてきたんだ。」
「それから?」
「それからねぇ…」
それからもしばらく彼女の話は続いた。
この街を紹介する彼女は楽しそうで、どこか寂しそうだった。
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イベント開催者A - 十柱瓜さん» おお!気づいていただけましたか!「さひしいよ」の件については、「び」のつく題名が思いつかなかったので無理やりしちゃったんですよね…読んでくださりありがとうございました! (2020年1月19日 7時) (レス) id: 8063665ae5 (このIDを非表示/違反報告)
十柱瓜 - 隠し要素、気づかせていだきました!いえい! (ネタバレ含みます。)其処でなのですが、一番最後、「さびしいよ」が、「さひしいよ」になってませんか?見間違え、又、わざとなのでしたら申し訳ございません。 (2020年1月18日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
イベント開催者A - 十柱瓜さん» コメントありがとうございます!えっ、あ、こちらこそ産まれて来てくれてありがとうございます!更新頑張りますね!嬉しい! (2020年1月14日 7時) (レス) id: 8063665ae5 (このIDを非表示/違反報告)
十柱瓜 - あ、深夜廻だ…。……え!?いや、あの、ちょ、ほんとに、まじで、あの、生まれて来てくれてありがとうございますッ!!!(唐突) (2020年1月13日 19時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
イベント開催者A - さくらもちさん» 私も好きです。結婚しよう(真顔)確かに最近寒いですよねぇ…さくらもちさんもお気をつけて!コメントありがとうございます、頑張ります! (2020年1月7日 6時) (レス) id: 8063665ae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イベント開催者A | 作成日時:2019年5月15日 17時