しぬっていうのは ページ13
意を決して、三人で山の奥へと進んで行く。
電車の中でAちゃんに言われた通り、気を強く持って、人形をお守り代わりに握りしめながら。
其の儘進むと、こちらに覆いかぶさってくるような、不気味な形の樹が生えていた。
そして、其の木の根元には木の箱が置いてある。
確か此処でAちゃんの親友は____
その光景は簡単に想像ができて、胸が締め付けられた。
しかし、其処はもう行き止まりだったので引き返すことにした。すると、行きには気が付かなかった穴があった。
何となく此処にAちゃんがいるような気がして、穴を潜った。
すると、其処は洞窟になっていた。床には蜘蛛の巣が張り巡らされていて、絨毯のようで気色悪い。
すると____どさり、と何かが落ちてきた。
「ひッ…!?」
落ちてきたのは、蜘蛛だった。いや、正確には蜘蛛ではない。蜘蛛の形をしたナニカ、だ。
祈るように組まれた手から、針金のような脚が6本生えている。
最初に落ちた一匹を合図にするように、沢山の蜘蛛が落ちてくる。
異能が使えない今、僕らにできるのは逃げる事だけだった。
其の儘蜘蛛に追い立てられるようにして、洞窟の奥へと足を踏み入れた。
「ねえ、敦君」
太宰さんが話しかけてきた。
「…なんでしょう」
「あの時、何で私と遭遇したとたんにAちゃんが消えたのか、わかるかい?」
その答えは、僕には一つしか浮かばなかった。
「…Aちゃんの友達が、首をつってジサツしたから…じゃあないんですか?」
自分の友達が死んだのと同じ方法で人が死のうとしているのを見て、いい気持ちをする人はいないだろう。
「私はね、違うと思うんだ」
「あの子が…Aちゃんが消えたのは…」
その瞬間。
「っ…太宰さん、前に居るの…Aちゃんじゃないですか?」
確かに目の前には、Aちゃんが居た。
然し其の次の瞬間には、それが「今の」Aちゃんではないことが分かった。
何故ならAちゃんの横には、今この街に居る筈のない彼女の親友、ハルちゃんがいたからだ。
其れに、暗いからわかりにくいが、彼女達は白黒で、町であった時に見た、鮮やかなリボンの色は見えなかった。
これは____残像だ。
本能的にそう理解した。アレは、ここで過去にあった事を映し出しているのだ。
其の儘彼女たちの残像についていくと、其れは、煙が霧散するかの如くふっと掻き消えた。
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イベント開催者A - 十柱瓜さん» おお!気づいていただけましたか!「さひしいよ」の件については、「び」のつく題名が思いつかなかったので無理やりしちゃったんですよね…読んでくださりありがとうございました! (2020年1月19日 7時) (レス) id: 8063665ae5 (このIDを非表示/違反報告)
十柱瓜 - 隠し要素、気づかせていだきました!いえい! (ネタバレ含みます。)其処でなのですが、一番最後、「さびしいよ」が、「さひしいよ」になってませんか?見間違え、又、わざとなのでしたら申し訳ございません。 (2020年1月18日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
イベント開催者A - 十柱瓜さん» コメントありがとうございます!えっ、あ、こちらこそ産まれて来てくれてありがとうございます!更新頑張りますね!嬉しい! (2020年1月14日 7時) (レス) id: 8063665ae5 (このIDを非表示/違反報告)
十柱瓜 - あ、深夜廻だ…。……え!?いや、あの、ちょ、ほんとに、まじで、あの、生まれて来てくれてありがとうございますッ!!!(唐突) (2020年1月13日 19時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)
イベント開催者A - さくらもちさん» 私も好きです。結婚しよう(真顔)確かに最近寒いですよねぇ…さくらもちさんもお気をつけて!コメントありがとうございます、頑張ります! (2020年1月7日 6時) (レス) id: 8063665ae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イベント開催者A | 作成日時:2019年5月15日 17時