その１０ ページ23
そして立ち止まったかと思えば、彼は悄然とした様子で私の方を見つめていた。
――朱色が混じった、その紫煙の様な色の瞳を辛そうに細めて。
日本号「ま…あんたには、わからないだろうな。
今までずっと幾年も愛されてきたモノが急に人に必要とされない事がどれ程辛いのか、それどころか自尊心すらボロボロにされて蔑まれる事が、どれ程俺達刀剣にとって苦しい事なのか、
…わかる訳、ないよな？」
「…！……」
日本号「だがもういい加減わかってくれ、主…今の俺には、あんたしか居ないんだ。
唯一俺を赦して優しく迎えてくれたあんたに、必要とされなくなったら、
それか…もし今回と同じ様な事が起きて、あんたが一生帰ってこない様になってしまったら、俺は…、」
「…日本、号さん、」
(…この人は、ただ心配性なだけじゃ、ないんだ。
今まで"過保護なおっさんだな"、程度に思ってたけど、本当はやっぱり未だにそういうところで苦しんでいて…)
今更、それに気づいてしまった。
――だが私が思わず無意識に震えていた事に気づいたのか、日本号さんはハッとした様に私の頭にそっと手を乗せる。
日本号「…わ、悪い…
柄にもなく、取り乱しちまったな」
そして『今のは忘れてくれ』と言い、いつも通り笑いながら先に帰路を行こうとしていた。
…無理した笑顔を、貼り付けて。
その様子を見て、私はふと瞬時に思った。
(…ダメだ。
今引き止めないと、彼は今以上に傷つく事になる)
――何故私がそう思ったのかは、正直わからない。
そこに科学的な根拠も無ければ、何か特別な理由があった訳でもない。
ただ、私の本能がそう感じさせていた。
それだけだった。
日本号「っ、！？
あ、主…？」
――私は彼の背中を追いかけ、思いっきりギューッと抱きつく。
「…号ちゃん、
いつも、ありがとう」
そして彼を見上げてそう言えば、号ちゃんは『は？』とでも言うかのようにぽかんとした表情を浮かべていた。
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勇者の人(プロフ) - 伯方の塩さん» オアシスになれて幸いです（笑）素敵なコメントありがとうございます！ (2022年2月13日 0時) (
レス) id: 9d2babae06 (このIDを非表示/違反報告)
伯方の塩 - この小説が受験で荒んだ心を癒してくれる唯一のオアシスッッッ！！ (2022年2月12日 23時) (レス) @page50 id: 1db9d10da5 (このIDを非表示/違反報告)
勇者の人(プロフ) - ヤナさん» 了解です、閲覧ありがとうございました！ (2022年2月12日 15時) (レス) id: 9d2babae06 (このIDを非表示/違反報告)
ヤナ(プロフ) - いえいえ！今の頻度で良いですよ！この作品の更新を待っている時間が一番の楽しみなので( *´艸) (2022年2月12日 15時) (レス) id: b7ef8c0433 (このIDを非表示/違反報告)
勇者の人(プロフ) - ヤナさん» いえいえ！一応毎週土曜日には更新しているのですが、もう少し頻度を上げたほうが宜しいですかね…？書き貯めしているので、上げることはできるのですが… (2022年2月6日 0時) (レス) id: 9d2babae06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：勇者の人 | 作成日時：2022年1月22日 1時
