初期刀？いいえ、初期槍です。《参》【刀剣乱舞】

その９ ページ38

誤解を解いて少し和やかな雰囲気になっていると、やがてまた燭台切さんが滑り帰ってくる音が聞こえ始める。


燭台切「主、取ってきたよ〜！」


「ありがとう、助かったよ！」


そう言ってくれる燭台切さんに、私は扉の向こうからお礼を言う。


――しかし、その瞬間……



燭台切「…あっ」



…燭台切さんのそんな声が聞こえたかと思えば、


次の瞬間ガンっと鈍い音が廊下に響いた。



その音が聞こえた直後、バタッという音と共に何か小さい金属の様なモノが落ちる音が聞こえる。


…やがて、シンと静まる廊下。



「……え、


燭台切、さん……？？」


心配になって彼の名前を呼んでみるが、返事はない。


「ちょ、燭台切さん、冗談やめてよ。カギ、必要なんだって。


燭台切さん？


……あの、燭台切さん？？」


和泉守「！お、おい、主、

あれ……！！」


そう和泉守さんが後ろから指したのは、扉の下。


「ひっ、っ！！」


――なんとそこから、ダラッと赤い液体が少しづつこちらへ流れていたのだ。


「しょっ、燭台切さっ、！」


長曽袮「やめろ主、見るな！！」


そう言った瞬間、長曽袮さんは反射的にすぐさま私の目を覆ってくれる。


……あ、


やばい。



目を覆ってくれたって事は、今後ろにいるって事だよね。



……お兄さん。


気絶するって、それ。


ーーー

和泉守Side


よぉ、かっこよくて強〜い刀の俺だ。


いやぁ、にしても顕現した時はビックリしたぜ。

長曽袮さんと同時に顕現したという事も驚いたが、まさか主にあんなに怖がられた上にここが開かねえなんてな。


…っと、そんな事を言ってる暇はねえな。


今俺たちは何をしているか、というと……



和泉守「おい大丈夫か、しっかりしろ！！」


長曽袮「主、主ぃぃッ！！」


――助けに来てくれた奴が死んだかと思ったら、今度は主が長曽袮さんの腕の中で白目を剝いて意識を失ってしまった。

『そんなにショックだったか！？』と一瞬思ったがものの、よく考えてみてほしい。

主はタッパがデカいとはいえ、ヒョロヒョロで弱そうな娘。あそこまで俺達を怖がっていたという事は、かなりのビビリなんだろう。どこか納得もいく様な気がした。

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