初期刀？いいえ、初期槍です。《参》【刀剣乱舞】

その４ ページ33

ーーー


「…え、


う、


…うぇ〜……」


――はい、本日2回目の御手杵君風ボイスを出してしまいました、私です。


そんな風に脱力しながらも見ていた先は、【2:59:59】と【2:59:59】と記された鍛刀の残り時間。


今回は打刀か太刀狙いで鍛刀したのだが、どちらも３時間、って事は…


「出てくる可能性がある刀剣男士は…



……なんだっけ」


そんな事を呟きながら、未だに誰が出てくるか暗記していない私は慣れた手付きで愛用している審神者マニュアルのページをめくる。


…今『お前研修終わったんじゃないのかよ』と思ってるそこのアナタ。頭も大して良くないこの凡人の私が全くカンニングしないまま全60問もある審神者適正テストを合格できたとでもお思いで？

まあ今思えば政府の機関内でバレずにカンニングできたのも凄い話だけどね。


って、そんな事より新しく出てくる可能性のある刀剣男士は…と。


「和泉守兼定、山伏国広、長曽袮虎徹のいずれかぁ……」


彼等の他に既に出てきた刀剣男士が出てくる可能性もあるけど、できれば伽羅さん以外全員出てきてほしくないな。むしろどっちも伽羅さんだといいな。


あー、なんかの手違いで他の３時間組の蛍丸君とか出てきてくれないかなぁ…それか獅子王君とか、同田貫さんとかもカッコいいから顕現してみたいな…


「……手伝い札、使おうかな。」


――どうせこのまま悩んでいても、彼等は時間になるまで出てきてくれない。


今まで鍛刀する際は私がビビって手伝い札を使わなかったんだけど、こうして考えてみると計60個ぐらい溜まってるのに使わずに待つというのもアホらしい気がする。


「いや…でもなぁ……」


だがそれで新しい刀剣男士が顕現したとしよう。


燭台切さんはも○みちの世界へ行ってしまったし、太郎さんだって今頃馬小屋で馬と戯れてオカリナでも吹いてるはず。


つまり、現在私が頼れる男士は誰一人いない。


「ま…待とうかな？いやでも、待つのもまた緊張感が…

ああでも、もし伽羅さんが出てこなかったら私はまた部屋の隅っこ行きに…

うぁああっもう、どうすればいいの〜！？」


頭をガシガシ掻き、悩む私。


――するとその嘆きを聞き届けたのか、やがて私の両脇に何かがポンッと現れる。


「…え、」


ま、まさか、


これは漫画でよく見る、主人公が何かで悩む時にちっちゃくて可愛らしい天使と悪魔が出てきて争うシチュエーション…！？

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